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雪さんは満面の笑みを咲かせ、私も微笑んでレトルトくんを見上げる。
そして、母だった人を見て言った。
「じゃあ…！」
「A、あんたはあんたの好きにし。うちは何も口出さん！」
私が笑顔の中、母だった人は少し怒りながらそう言った。
すると、龍彦さんが前に出て母だった人と私の手を取り言った。
「お2人も、仲直りしましょ。このままでしたら後味が悪いじゃないですか。」
「なんでこんなバカ娘と。」
「飛鳥さん、素直になりましょ。」
龍彦さんがそう言うと、母だった人は少し目を逸らしてから私の事をじっと見つめる。
「素直に、か…。」
そして、ゆっくりと私と繋いでいた手を離す。
「Aっ…！」
母だった人はそう言って私を抱きしめた。
「A、ごめんね、ごめんね…。」
「お母…さん…？」
今私を抱きしめるこの人は、紛れもない私の母だった。
「小さい頃、本当は沢山遊んであげたかった。もっと、一緒にいたかった。もう、こんなに大きくなってしもたんやなぁ。ごめんね、A。今までよく頑張ってくれたね。もう、あんたは自由や。」
「お、お母さん…！」
私も母に抱きしめ返す。
「私も、ずっとこうしたかった。仲直り、したかった…。」
私がそう言うと、母は私から離れ、優しく頭を撫でた。
「これで仲直りや。深いことは、なんも考えん。お互いが仲直りしたい思たら、それでいいんや。」
そう言うと、母はレトルトくんの方に向かって1つ礼をする。
「先程はえらい酷いこと言うてしもてすみませんでした。どうか、娘をよろしくお願いします。」
すると、レトルトくんは手を前でぶんぶんと振って言った。
「いやいや！俺の方こそ酷い事言ってしまってすみませんでした！！」
レトルトくんが深く頭を下げると、母は、「顔を上げてください。」と言って、レトルトくんの顔を見て言った。
「あなたは、レトルトさん言いましたやろか。」
「はい。」
「昔、Aの事を助けてくれたお人ですよね。あの時はどうもありがとうございました。レトルトさんになら、Aの事、任せられるような気がします。」
私は、その母の言葉にびっくりして思わず口を開く。
「お母さんレトルトくんの事覚えてるの？！」
すると、母はこっちを向いて言った。
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作者名：シーチキン | 作成日時：2021年3月31日 17時
