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そう言うと、隣からは直ぐに返事が返ってきた。
「僕だってAさんの事、諦めませんよ。いつか振り向いてくれるまで、ずっと。」
私は、なんて諦めの悪い人なんだと心の中でため息をつく。
そして、高そうなカフェテラスに来ると、私達はそこに入った。
「何にします？」
店に入って椅子に座ると、龍彦さんがそう聞いた。
「え、えーと、じゃあ、ココアで。」
「他はいいですか？」
「ええ。」
「分かりました。」
そして、店員さんを呼ぶ。
「ご注文は？」
「コーヒーとココアで。」
わざわざこんな高そうなカフェに来なくても普通のカフェでも出来る注文。
どうせ同じような味ならこんな空気の固い所じゃなくて暖かくて柔らかいカフェの方がいいのに、と私は思った。
暫くして、注文したドリンクが運ばれてくると、私は1口ココアを口にした。
甘くて美味しい普通のココア。
飛鳥家に生まれたと思えないほど、私の舌は安舌だった。
龍彦さんの方を見てみると、まず香りから楽しみ、深くコーヒーの旨味を味わっているようだった。
この様子からして、私と龍彦さんとの間に大きな差が生まれている。
やはり、私と龍彦さんとでは格が違うのだ。
ココアのカップをコトと机に置くと、龍彦さんもカップを机に置いた。
「Aさんはココアがお好きなんですか？」
「はい、まぁ、好きです。」
龍彦さんにそう聞かれたけど曖昧な答えしか出来なくて会話は直ぐに切れてしまった。
少し、静かな時間が過ぎて私は1つ気になっていたことを聞いた。
「あの…、龍彦さんはどうして、その、私の事をそんなに好きになったんですか…？」
私がそう言うと、龍彦さんは目をキリッとさせて答えた。
「前にも言いましたが、僕はAさんの自分自身を生きる姿に凄く目を惹かれました。家柄に関わる人はAさんの事を親不孝者だと仰る方もいると思いますが、僕は、素晴らしいと思います。」
「…でも、龍彦さんも西橋銀行の次男さんで、跡継ぎの大切さにはよくご存知なのでは？」
「はい。よく知っています。だからこそです。」
「え…？」
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作者名：シーチキン | 作成日時：2021年3月31日 17時
