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「あんたに帰る場所ゆう所があるんなら、何処へでも行きんさい。」
母だった人はそう言うと、軽い足取りで廊下を歩いて行った。
「私の、帰る場所…。」
私はそう呟き、その場で立ち竦む。
私の帰る場所は、もう無い。
あの人に、簡単に、打ち消された。
あぁ、画材や、作品はどうなったのだろう…。
きっとあの人のことだからもうゴミ処理場で粉々になっているのだろうか。
そう思うと、私の目から自然と涙がこぼれ落ちた。
私の夢も、希望も、思い出も、全てあの人に握りつぶされた。
私の存在までも、消されてしまったみたいだった。
その後私は静かに自分の部屋に戻り、何もすることなくただ顔を伏せていた。
もう、何も考えることが出来なかった。
ここに来る前の強気の感情はどす黒く、腐り果てていた。
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作者名：シーチキン | 作成日時：2021年3月31日 17時
