特別なR ②【rtrt】 (ページ29)

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「そ、そうですか…。ですが、僕は、諦めません。Aさんが想うお人より、僕がAさんに惹かれる人になってみせます！」

「え？」

私も龍彦さんから思いもよらぬ答えが返ってきて間抜けな声を上げた。

「僕は、今日Aさんと会い、もっと好きになりました。自分に正直なところ、包み隠さずお話するところが、僕は好きです。今日はこれで失礼しますが、またお会いして頂けないでしょうか。」

そう言って龍彦さんは深々と頭を下げる。

「え？え？」

私は疑問の声を上げるしかなかった。

その横で母だった人は笑顔でこう述べた。

「ええ！ぜひお願いします。今日は緊張してはるんか変な事言うておりましたが本当は全然そんな事無いんです。」

「え、ちょっと！」

私はこの人の口を塞ぎたい思いでいっぱいだったがそうすることも出来ず、話は進んでしまった。

「そ、そうなんですか！？では、またお会いしましょう。それでは今日はこれで。」

「ええ、ありがとうございました。」

母だった人がそう言うと、相手の親も礼を述べる。

そして、立ち上がると、お手伝いの人が襖を開け、相手家族は立ち去っていった。

相手家族がいなくなると、父だった人は何も言わずにこの部屋を立ち去り、私と母だった人だけになる。

すると、母だった人は私に怒声を浴びせた。

「あんたは本当に何を考えておりますの！！？お見合いの時に別の男の人の話をするやなんて！！！次はちゃんとお付き合いできるようにしんさいよ！」

そう言って立ち去ろうとするこの人に、私も対抗する。

「お見合いはしたんだし私は帰るから！私、龍彦さんとお付き合いする気無いから！！」

私がそう言うと、母だった人はピシッと鋭い音を立てて襖を閉じ、部屋を出て行った。