特別なR ②【rtrt】 (ページ25)

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部屋に戻って暫く経ったあと、襖の奥で雪さんの声が聞こえた。

「A様？いらっしゃいますか？」

「雪さん？」

私がそう声を発すると、「失礼します。」と言って雪さんが襖を開けた。

「お部屋に戻っていらしたのですね。」

「すみません、誰とも会いたくない気持ちだったので…本当にすみません。」

私が素直に謝ると、雪さんは手をぶんぶんと振って言った。

「いえいえそんな！人には誰だってそういう時はありますので、大丈夫ですよ。」

優しく微笑む雪さんの笑顔はとても可愛らしかった。

そして、雪さんは思い出したようにあっと声を上げて何かを取り出す。

「こんな時で申し訳ないのですが、これ、お母様に頼まれまして。」

そう言って渡されたのはアルバムのような硬い表紙を持つものだった。

おそらく相手のお見合い写真だろう。

「ありがとう。」

私がそう言うと、雪さんは「いえ。」と言って部屋を出て行った。

私は、雪さんが出て行くと、1度、写真を確認する。

すると、いかにも大手銀行会社の子供といった人が写っていた。

顔はそこそこだが、やっぱりレトルトくんに及ぶことは無い。

パタリと表紙を閉じると、そのまま小さな机の上へと置いた。

そして、再びスマホを手に取る。

スマホを手に取り連絡する相手は1人だけ。

Aレトルトくん、ご飯食べ終わって、話もしてきたよ

そうメッセージを送ると、レトルトくんからはすぐに返事が返ってきた。

レトルトおお!

…で、どやった?

私は少し震える手で文字を打つ。

Aんー、あまり上手くいかなかったや

でも大丈夫!まだ明日、お見合いの日があるから!

送信すると、少し間が開いて返事が返ってきた。