特別なR ②【rtrt】 (ページ23)

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「そうや、お見合い相手の人の話をするんやったね。」

そう言うあの人の顔を見て私は次の言葉を待つ。

「電話でも言うた通り、西橋銀行さんの次男さんや。名前は西橋龍彦(にしばしたつひこ)さん言うらしいんや、かっこええ名前やんなぁ。」

あの人はニコニコしながら話を進める。

「写真は後で渡すさかい見とくんやで。」

私は1口漬物を食べる。あの人は話を続けた。

「そんでなぁ、大事なんは、結婚したらこの家の後を継いでくれるっちゅう事なんや。」

そう、この人の目的はこれ一つ。

私とお見合い相手の愛なんかどうでもよくて、ただ、この家の利益になるからという理由だけ。

傍から見れば、娘の結婚を心配するただの母親に見えるかもしれないが、奥を突いてみればそれはそれは汚かった。

「それやったら、あんたの夢も叶うし、この家も潰れんで済む。一石二鳥やと思わへん？」

あの人は、自分の言っていることが1番正しいかのようにそう締めくくると、私の顔を見て威圧を押し付ける。

私は、この人の、この目が、大嫌いだった。

そして、今まで黙って話を聞いていた私は、ようやく口を開いた。

「私、お見合いはしてもお付き合いや結婚はしないから。」

「はぁ？あんた一体何を言うてはるんや。そんなやったら、お見合いする意味あらへんやろ。」

「それだったらお見合い自体しなくていいけど。」

「あんたっ！何を言うてはりますの！この話の何が気に食わへんの！」

私は、この人に負けないくらい睨みをきかせて言った。