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次の日。
今日も私は早朝から絵を売り始める。
だけど、やっぱり絵は売れなくて、時間だけが過ぎてゆく。
今日は日曜日だから昨日より人通りは多いはず。
そう思っていると、外国人観光客に話しかけられた。
私は英語は分からなかったが、あっちが日本語で話してくれて、なんでも、似顔絵を描いて欲しいと言うのだ。
しかも、自分のじゃなくて愛する人の・・・。
私はそれを受け入れ、彼が見せる写真を元にして似顔絵を描いた。
5分くらいして、私は似顔絵を描き上げた。
そして、それを外国人の方に渡す。
すると、それを見た外国人の方は、満面の笑みで言った。
「Oh !! Wonderful ! Thank you, thank you !!」
私もつられて笑顔になる。
「Good luck !」
自分が知っている限りの単語を言うと、外国人の方は、満足そうに帰っていった。
私は、彼と彼女が上手くいくといいなと思いながら、描いていた途中の絵を再開した。
なかなか買ってくれる人はいないけど、私の絵を買ってくれる人は皆笑顔になってくれる。
皆、私の絵を見てくれてるんだ。
そう思うとすごく幸せな気持ちになった。
そうしていると、上から声がかかる。
「すみません。」
「はい！」
顔を上げると、そこにいたのは香坂さんだった。
「あっ、香坂さん！今日も来てくれたんですか！？」
「はい。」
香坂さんは照れたようにそう言うと、話を続けた。
「今日は、友達に配達員さんの絵を買って行こうと思いまして・・・。」
「ありがとうございます！」
私はそう言って、ある重大なことに気づいた。
「あっ！そう言えば、私ったら、まだ名前を名乗っていなかったですね。」
「あ、そう言えば・・・。まだ、名前聞いてませんでした。」
「私は飛鳥 Aと言います。名乗るのが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。」
「いやいや、大丈夫ですよ。俺だって名乗ってなかったですし・・・。俺は、香坂 レトルトっていいます。」
「レトルトさん、素敵な名前ですね！」
「そうですかね、ありがとうございます。飛鳥さんもいい名前だと思います。」
「ありがとうございます。」
香坂さんに名前を呼ばれた。
まぁ苗字だけど、嬉しかった。
なんだか友達になれたみたいで、嬉しかった。
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作者名：シーチキン | 作成日時：2021年3月11日 12時
