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ゆっくり顔を上げると、そこにはキョトンという顔をした香坂さんがいた。
そんな香坂さんを見て、私もキョトンとしていると、香坂さんはふふっと笑って話しかけた。
「クレーム言いに来たんとちゃいますよ。この前の事は全然気にしてないですし。」
にこやかに話す香坂さんを見て、私の心はホッと溜息をつく。
それにしても、香坂さんって関西の人だったんだ・・・。
なんだか、香坂さんの新たな一面を見れたような気がして嬉しかった。
そして、にこやかに話しかけてくれる香坂さんに対し、私も笑顔で言った。
「そ、そうでしたか、良かった・・・。それじゃあ、どうしてここに?」
「たまたまここを通りかかって、そしたら、素敵な絵があったので、つい。」
「す、素敵な絵ですか!?」
「はい。なんだか、心を穏やかにしてくれるような絵ですね。」
「そう言っていただけると嬉しいです!ありがとうございます!」
「それじゃあ俺はここで、また来ますね。」
「あ、ありがとうございます!」
『また来ますね。』その言葉が私の胸に強く残った。
香坂さんから貰った言葉は、この世の誰からかけてもらう言葉よりも特別な感じがした。
香坂さんに会うと、いつも何でだろうと疑問に思うけど、その理由はまだ分からなかった。
明日も私はここで絵を売ろうと思う。
香坂さんは来てくれるだろうか。
さすがに2日連続は来てくれないかもしれない。
でも、私が描いた絵が香坂さんの家で飾られると思うと、自分がお邪魔しているみたいでなんだか恥ずかしくなる。
私は、香坂さんの事をもっと知りたいと思った。
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作者名:シーチキン | 作成日時:2021年3月11日 12時