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私は、誰かのために日程を決めることなんて無かったから、とっても嬉しい気持ちになった。
そして、今日が最後のレトルトくん家への配達。
もう会えなくなる訳じゃないのに少し寂しい。
いつものようにインターホンを鳴らすと、いつもより早く玄関の扉が開いた。
「お届けものです!」
「A、今日もありがとな〜。」
私はレトルトくんにボールペンを渡しながら言う。
「レトルトくん、私ね、今日で配達員の仕事終了しようと思ってるの。」
「えっ、そうなん!?」
レトルトくんは書くのをやめて私の方を見る。
「そう、そろそろこのバイト始めて3ヶ月経つし、他のバイトに変えるの。」
「そうなんかー、それで、次なんのバイトするん?」
「んー、まだ詳しくは決めてないけど決めてないけど、動物と触れ合えるペットショップとかに…。」
「そうなんや。」
レトルトくんはなんだか寂しそうな表情をする。
レトルトくんも私と会えなくなること、悲しいって思ってくれてるのかな、それだったらいいな。
「あっ、でも、今回はお休みの日を1日作ったの、それに、絵を売り出す日も1日増やしたんだよ!」
「そうなん!?それやったら、もしその休みの日暇やったら一緒に遊ばへん?!」
「もちろん!」
そう言って私はレトルトくんからサインを受け取る。
「ほなな〜。」
「うん!またね!」
レトルトくんが手を振り、私も手を振り返す。
そして、私は車の中へと戻った。
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作者名:シーチキン | 作成日時:2021年3月11日 12時