11 地震 ページ21
少し時間が過ぎ、木曜日になった。
今日もバイトのはずだったが急に休みになり、私はショッピングモールへ出かけることにした。
たまにはこういうお出かけもいいものだ。
オシャレをして、街の風景を見るのも、いい絵の勉強になる。
まぁ、そんなにお金は使えないし欲しいものが全部買えるわけではないのだが…。
そして、私がショッピングモールの通路を歩いていた時、急に地面が揺れた。
「えっ!?」
そう思うと、直ぐに揺れは強くなり、立っていられなくなるほどにまでなった。
私はしゃがみ込み、地面に手を付きなんとか転ばないようにする。
周りの人も見ると皆そんな感じだった。
そして、お店の店員の人は注意を促している。
「皆さん落ち着いてください!落ち着いて頭を守れる場所に移動してください!」
(あ、頭を守れる場所…!)
私は頭を守れる場所に移動しようとするが、揺れと怖さで動くことが出来なかった。
こんなに強い地震は体験したことがなかった。
そうしている内に店内の物がドサドサと落ち、遠くではガシャンというガラスの割れる音もする
視覚と聴覚から、怖さはもっと増していった。
「うぅ…、怖いよ…。」
いい大人のくせして十分に自分の身を守れないのは情けなく思う。
そして、遂に私の近くにある高い棚がこちらに向かって倒れてきた。
ガッシャーン
「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」
それはギリギリ私には当たらなかったが、真横で大きなものが倒れてきたのを見て、私は思わず声を上げてしまった。
それに、少し腕が痛い。
そう感じ自分の腕を見てみると、ツーっと血が垂れてきていた。
きっと、さっきの衝撃で何かの破片が飛んできたのだろう。
「い、痛い…。」
私は血が出ている手を抑える。
泣いてしまいそうになったその時…。
「飛鳥さん!」
優しい声と穏やかな肌が私を包んだ。
顔を上げるとそこには香坂さんがいた。
「こ、香坂さん…。」
涙声で香坂さんの名前を呼ぶと、香坂さんは私を支えて安全な場所に連れて行ってくれた。
「飛鳥さん、大丈夫やで。俺がついてる。」
安全な場所に来ると香坂さんは私の頭を抱え込むようにして守ってくれた。
その時、私の頭にある記憶が蘇った。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シーチキン | 作成日時:2021年3月11日 12時