逃げただけでした。#1

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「あ、ほんとだ！A〜〜!!」

「久しぶり！」

「Aじゃん！今から打ち合わせ？」




聞き慣れたソプラノの声がほぼ同時に聞こえる。
その正体はひまちゃんに、しぃちゃん、そしてりりむだった。






『＿＿＿＿＿＿っ、』







そして。叶先輩の横に立つ彼と視線が交わった途端、心臓が大きく鳴る。思考が停止してしまった。


葛葉だった。





時間が止まったみたいに、その場から動けなくなる。
鼓動が波打って止まらなかった。どう接したら良いか、顔を合わせたら良いか分からなくて。


だから叶さんにぺこり、と会釈をした後。そのまま、視線を逸らした。





そして、ひまちゃんとしぃちゃん、りりむに『久しぶり！』と言葉を交わし合う。

｢A、打ち合わせ今から？」と再度聞かれて。






『さっき早めに終わっちゃって....』






そう正直に伝えれば、ひまちゃんとしぃちゃん、りりむの3人から。きらきらした様な目で、｢それならAも一緒にご飯行こうよ！」と誘われてしまったのだ。


でも、と私が口籠もる前に、りりむが口を開いた。







「A、最近全然事務所で会えないんだもん。寂しかった〜〜」






うんうんと頷く2人に私もだよ、と返せば。

間を置かずに、｢この後予定とかある？？」と聞かれ。素直にないよ、と首を横に振ってしまい。




「にいやん、Aも一緒でいいよね？」と聞いたのはひまちゃんだった。それに、勿論だよと頷く叶さん。



そんなこんなで、断れなくて。冒頭に戻る。







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