The love【kzh】

噂話 ページ10

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今朝から視線が痛いです。
どうやら、昨夜の噂がもう広がっているようです。それは根も葉もないものから、事実のものまで様々でしょう。


ヒソヒソと耳を澄ませば聞こえるか聞こえないかの絶妙な声と、好奇心、疑惑、嫌悪の目線を向けられる中、いつも通り業務をこなします。面倒事は避けたいのです。




結局、先日の舞踏会はラグーザ様⋯⋯⋯⋯いえ、アレクサンドル様の不在によって、幕を閉じました。

そしてそれが父上様の耳に入ったことによって、近日中またしても社交界が行われることになり、うげっと分かりやすく主の顔が歪みました。





「マジで嫌なんだけど」
「そんな顔されないで下さい」





色鮮やかで豪華極まる衣装を身に包んだ主が、げっそりと項垂れます。すると、主は難題を押し付けます。





「お前さ、今日何の日か分かって言ってるわけ」
「⋯⋯⋯⋯⋯本日何かご予定でもありましたでしょうか」





アレクサンドル・ラグーザ様がご誕生された日は、11月10日。
まだ半年以上は先のことです。アレクサンドル様の血縁者の方々のご誕生日でもありません。一体なんの日でしょうか。

答えを出せずにいる私を目に、アレクサンドル様がはあっと溜息をつかれた時。そしてタイミング良く、コンコンとドアをノックする音。




「ラグーザ様、お時間です」
「おー」




気だるけな返事をなされた後､「行くぞ」と声を掛けられ、それに小さく「はい」と呟きました。

今度こそは、何も起こらないことを願うのみです。





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