幸せになんてならないで (side:スリン) ページ39
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「スリン、良かったの?」
荷物をまとめたAオンニが宿所を出ていった後。
私の顔を覗き込むように、ソユンが心配そうに私に声をかけてくれた。
「何がですか?」
それでも、私はそれに気づかないふりをする。
だってこの恋が叶わないことなんて、ずっと分かっていたんだ。
思えば私は最初から、私はオンニのことが好きだった。何をするにしてもAオンニにくっ付いていたし、他のメンバーと絡んでいるところを見たら必ず割って入っていた。
それでも、私はそれが恋だとは気づかなかった。Aオンニがいつも近くに、傍に居るのが当たり前で。だから、気づけなかった。
自分の想いを自覚してからは、苦しかった。オンニにはずっと心の中で、何年も思いを寄せている人がいて。
振り向いてくれないことが絶対にないのは、分かっていたから。
それでもAオンニが傍にいるうちは、同じアイドルとして活動しているうちは、オンニのことをずっと好きでいたかった。
両思いじゃなくていい。同じ好きを、愛してるを返してくれなくたっていい。ただ、隣に居たかっただけだったのに。
“皆と同じグループになれて良かった。七年間ずっと一緒に居てくれて、ありがとう。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
数時間前、オンニが私たちに言った言葉が脳裏をよぎって、不意に視界が霞んでいく。鼻の奥がツンとして、もう何度流したかも分からない涙が頬を伝う。
「っ、」
ぽん、と温かな手が肩に置かれる。
隣にはいつの間にか、優しく微笑むソユンとダヒオンニがいた。
「最後までAオンニの前で泣くの我慢してたんでしょ?今くらいは泣いてもいいと思うよ」
「ずっとバレないように隠してたもんね、うちのマンネ偉い!」
ふたりの温かくて優しい言葉が染みていく。
涙が次から次へと溢れ出して、ぽたぽた床にシミを作った。
「─────⋯ッ、Aオンニ、」
ずっとずっと、好きでした。⋯⋯⋯⋯⋯⋯どうか、
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空梅雨(プロフ) - あかきさん» 私はその方法で検索から自分のアカウントに飛べたのですが難しいでしょうか...。もしそれでも表示されない場合はまたお気軽にコメントくださいませ🙇🏻♀️対応を考えます...! (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - あかきさん» コメントありがとうございます😭😭Twitterの件でお手数お掛けしてしまいすみません...!検索スペースのすぐ下に出る「@karatsuyu2さんを表示」という文字を押しても駄目ですかね、、? (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
あかき - Twitter見たいのに検索引っかからないのですが、、、😭😭😭とても面白い長編作品をありがとうございます!!! (4月26日 12時) (レス) id: e220489c14 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 連載が終えず残念だと仰っていましたが、一作者としてここまで読んでくださったこと自体がいくら感謝しても足りないくらいです。本編では叶いませんでしたが、後日談は是非とも一緒に最後までお付き合いできることを私も楽しみにしております...! (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 他の作品からこちらまで来てくださりありがとうございます...!K-POP要素は入れつつ、K-POPに詳しくない方でも分かるように丁寧に書くことを意識していたのでそう仰っていただけて本当に嬉しいです。心から感謝申し上げます🙇🏻♀️🤍 (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空梅雨 | 作成日時:2024年1月31日 19時