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なんとなく変な空気が流れた気がして、視線を彷徨わせる。
テレビと、テーブルと、小さなソファ。それに奥にはベッドが配置された部屋。どこも綺麗に片付けられていて、物が散らばっていなかった。
大会、今日は終わったって言ってたっけ。
「mondoは、明日韓国に帰るの?」
「そ」
「私もまだツアーが残ってるし、明日の昼頃にはここを発たなきゃいけなくて。えっと次の国は⋯⋯」
どこだっけ。
自分から言っておいて、次の行き先を思い出せない。最終国の韓国の前に、まだヨーロッパで何ヶ国かあったはず。
「フィンランド」
「え」
「次はフィンランドだろ」
「よく知ってるね」
驚いて、思わず目を見開く。次の国まで把握してるってことは、もしかして私達のワールドツアーの日程を把握していたのだろうか。
「じゃあ今日私達がスゥエーデンに居ることも____」
「知ってたけど」
最後まで言い切る前に、mondoが答える。そうだったんだ。私も事前に調べておけば良かった、と思いつつ口を開く。
「なら今日もしかして会えるかもって思ってた?」
半分冗談のつもりたった。
ただ、あの頃みたいに揶揄うつもりで。多分あの頃みたいに、呆れた返事をされると思っていたのに。
「思ってた」
まさかこんなストレートに返されると思わなくて、心臓が鳴った。ぐっと大人になった、mondoの横顔を見つめていた。
「ほんとに?」
「ん」
「そ、れは⋯⋯嬉しいかも」
「A」
mondoのいつの間にか低くなっていた声が、私の名前を呼ぶ声が、鼓膜の奥で響いた気がした。⋯⋯⋯⋯⋯距離が近い。
「俺、男だけど」
「こんな時間に男の部屋来て何されるか分かってんのか」
あの頃腰掛けていた木製の椅子が、今は柔らかいソファに変わっていた。mondoがいつも隣に居たから、すぐに手を伸ばせば触れられる距離だった。なのに、今は違う。
手を伸ばさなくても、ずっと触れられる距離にいるんだ。
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空梅雨(プロフ) - あかきさん» 私はその方法で検索から自分のアカウントに飛べたのですが難しいでしょうか...。もしそれでも表示されない場合はまたお気軽にコメントくださいませ🙇🏻♀️対応を考えます...! (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - あかきさん» コメントありがとうございます😭😭Twitterの件でお手数お掛けしてしまいすみません...!検索スペースのすぐ下に出る「@karatsuyu2さんを表示」という文字を押しても駄目ですかね、、? (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
あかき - Twitter見たいのに検索引っかからないのですが、、、😭😭😭とても面白い長編作品をありがとうございます!!! (4月26日 12時) (レス) id: e220489c14 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 連載が終えず残念だと仰っていましたが、一作者としてここまで読んでくださったこと自体がいくら感謝しても足りないくらいです。本編では叶いませんでしたが、後日談は是非とも一緒に最後までお付き合いできることを私も楽しみにしております...! (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 他の作品からこちらまで来てくださりありがとうございます...!K-POP要素は入れつつ、K-POPに詳しくない方でも分かるように丁寧に書くことを意識していたのでそう仰っていただけて本当に嬉しいです。心から感謝申し上げます🙇🏻♀️🤍 (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空梅雨 | 作成日時:2024年1月31日 19時