オンニの好きな人 (side:スリン) ページ15
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「オンニ、大丈夫ですか?」
ワールドツアーを控えた頃。
どうにもAオンニの様子がおかしかった。どこかボーッとしていて、いつもだったら絶対しないようなミスをして度々怒られていて。
それに対して、すみません、を繰り返して謝るオンニ。ダヒオンニとソユンだけが顔を合わせて、少し気まずそうな顔をしていた。
「うーん...。迷惑ばっかりかけてごめんね」
何度も謝るオンニに、ぶんぶんと首を振って否定する。
皆オンニのことが好きだから、誰も迷惑なんて思ってないです。
そう伝えると少し安堵したような表情で、オンニが言う。
「ね、今日は一緒に寝ない?」
こうやってオンニと一緒に寝るのは、久しぶりだった。
最初の一年目の頃は家族と離れ離れになってしまったことが悲しくて、よくAオンニのベッドにお邪魔させてもらっていたのが懐かしい。
「スリンはさ、恋したことってある?」
「こい、ですか」
「ん、そう」
恋。その言葉に思わず、頭を捻った。
「私の場合、中学生の頃から練習生だったので...恋愛は全くと言っていいほどしてなくて、最後に恋をしたのも正直覚えてないです」
そして今はアイドルという特殊な職業をしているし、恋愛よりも自分の活動とオンニ達、ファンが一番だった。
「オンニはあるんですか?」
「______うん、高校生の時」
そうなんですね!どんな人ですか?
そう言おうと思っていたのに、言葉が喉に詰まって、いつものように返事が出来なかった。あれ、なんでだろう。
あ、これ...どこかで見覚えのある表情だ。私の知らないオンニの表情。ここ数年は全く見なかったのに、どうして今、急に?
「恋って......どんな感情でしたか?」
どこか無表情の横顔のオンニに、恐る恐る聞いた。
「そうだな、その人の行動や言葉ひとつで、嬉しくなったり悲しくなったりして」
「会えなかったら寂しくて泣きそうになる」
寂しげに微笑みながらそう言うオンニの視線の先は、私じゃない。もっと遠くを、果てしなく遠くを見ている。
嫌だ。不意にそう思った。
心の奥底から湧き出したような、今まで抱いたこともない黒い黒い感情だった。
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空梅雨(プロフ) - あかきさん» 私はその方法で検索から自分のアカウントに飛べたのですが難しいでしょうか...。もしそれでも表示されない場合はまたお気軽にコメントくださいませ🙇🏻♀️対応を考えます...! (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - あかきさん» コメントありがとうございます😭😭Twitterの件でお手数お掛けしてしまいすみません...!検索スペースのすぐ下に出る「@karatsuyu2さんを表示」という文字を押しても駄目ですかね、、? (4月26日 20時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
あかき - Twitter見たいのに検索引っかからないのですが、、、😭😭😭とても面白い長編作品をありがとうございます!!! (4月26日 12時) (レス) id: e220489c14 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 連載が終えず残念だと仰っていましたが、一作者としてここまで読んでくださったこと自体がいくら感謝しても足りないくらいです。本編では叶いませんでしたが、後日談は是非とも一緒に最後までお付き合いできることを私も楽しみにしております...! (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - シィさん» 他の作品からこちらまで来てくださりありがとうございます...!K-POP要素は入れつつ、K-POPに詳しくない方でも分かるように丁寧に書くことを意識していたのでそう仰っていただけて本当に嬉しいです。心から感謝申し上げます🙇🏻♀️🤍 (4月16日 0時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空梅雨 | 作成日時:2024年1月31日 19時