パパ活

34 ページ34

.




" ここからは一週間のお天気をお伝えします。東京では今日夕方まで快晴が続く模様ですが_____ "





夕方近くに目が覚めて、テレビを見ようと電源を付ければ、その時丁度画面に映っていたのはワイドショーだった。

有名アイドルの熱愛報道が出たみたいだ。




聞き流そうと思っていたけど、熱愛報道をされていたアイドルの名前は、芸能人に詳しくない自分でも聞いたことがあるから、へえっと思って。

ふと興味半分でネットで名前を検索すると、かなり.......というか予想以上に荒れていた。




スクロールしても増え続ける批判、もしくは野次馬の様な人が茶化す声。そういった言葉は無責任のようにも感じるし、どこか他人事のようだった。

そしてその中には、渦中のその人のファンまでも馬鹿にしたような内容も沢山ある。その内容に、思わず眉を顰めた。




見なきゃ良かった。そんな後悔を胸にネットを閉じて、テレビもチャンネルを変えた。

そして、変えた先で流れていたニュース番組の天気予報を横目に。そろそろ時間かな、と出かける準備に取り掛かった。


今日の人とはいつもと同じで最寄り駅で待ち合わせて、そこからホテルに行く予定だったよね。
頭の中でシュミレーションしながら、アパートを出た。






" 今夜から雨雲が広がり、明日の深夜にまでかけて雨が降る予報です_______ "






.
.
.






夜風に当たりながら、待ち合わせ場所まで足を進める。

お金が勿体無いので、数駅先まで移動は徒歩で。
待ち合わせの駅に着くと、まだ時間まで少し余裕があって、改札口の前で待っていた。

設置された時計をひたすら眺めながら、ふうっと息を吐く。





「こんばんは、Aちゃん」



後ろから聞こえた低い声に振り返って、こんばんは、と目を合わせて微笑みながら私も言った。



「今日も、よろしくね」






それが合図のようだ。

その人と言葉を交わしながら、階段を登って地下の駅から地上に一歩出ると、ポツポツ、と自分の肩に水滴が落ちてきた。




雨だった。

え、と思わず驚く私に、横にいるこの人が傘を開いて少し太めの手で私の肩を引き寄せた。


行こうか、と声を掛けられてもう一度微笑みながら、はい、と返事をする。私の肩にあるそれに、違和感は感じなかった。





.

35 (まふまふさいど)→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す