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A「！？」
音のなる方を見ると、黒い大穴から白い大きな物体が地面に降り立つ。
同時に通信が入る。
ゆり『
A(複数！？じゃあ、あっちにも…)
忍田『雨宮、今そちらに増援が向かっている。近くに人がいないか確認し、避難を優先しろ』
A「わ、わかりまし…！！」
近くに頼れる人がおらず周りを見渡していると、即座に通信にて指示が出される。
しかし、指示をもらっている最中で、近くに出たトリオン兵が町へと向かい始める。
A「っ、だめ！！」
急いで狙撃銃を出し、ひとまずトリオン兵に当てることに成功する。
だが、装甲が厚く、弾が通らない。
A「！ どうすれば…」
すると、当たったのに反応したのか、トリオン兵が止まる。
ひとまず止められたことに安心したのも束の間、
今度はこちらを捉え、また動き出す。
A「…！！」
近づいてくるトリオン兵に、ヒュッ、と細く息を吸い込む。
急いでリロードし、銃を構える。
A(だ、大丈夫、落ち着いて、目、目を狙えば…)
恐怖で鳴る心音を抑え、スコープを覗く。
A「あ」
もう、目の前に。
＿＿＿その日のことは、よく覚えている。
？「あぶねぇあぶねぇ、Aちゃんが気を反らしてくれてて助かったよ」
白いバケモノと、その上に立つ青い少年。
そして＿＿＿、
A「……う、あっ…！」
死んだ家族。
A「う、あ…あああっ…！！」
みんな赤に溶け、消えていった。
赦しさえ請えぬまま、ひとりになってしまった。
もう戻れない＿＿＿＿…
？「…ごめんね」
ふと、消えたはずの温もりが手に宿る。
はっ、と顔をあげると、そこには青の少年。
迅「もっと早く来れたら良かったね」
A「＿＿＿…、」
…まるであの日の続きみたいだった。
『君のせいじゃないよ』って、言いたくて。
言えなかった。
この手の温もりが、代わりに許してくれた気がした。
＊
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作者名：氷水 | 作成日時：2024年1月6日 0時
