雨音3 ページ5
Aside
A(あの人まだ待ってるんだ。)
カフェでバイトしてる私は店の向かいにあるベンチに座っている男性を見ていた。40分くらい前からいたが雨が振ってきた今も雨に濡れながら誰かを待っている。
A「風邪引かないかな。」
さすがに心配になってきたがわざわざあそこまで行って店で雨宿りさせるなんて不審者極まりない。
オ「Aさん、厨房にある布巾とってきてくれる？」
オーナーが私にそう言う。今日は二人だけなので満員になる日中は忙しかった。今はそうでもないが。
A「はい、わかりました！」
布巾を取りに奥の厨房に行く。
A「あ、こっちに来てる！」
布巾をとって戻ってきたら先程の男性が雨宿りのためか店の屋根の下にいた。
A「あんなに濡れてる。確か、鞄に折り畳み傘があるはず。タオルはあっちにあるし。」
よし！と決めて私は外に出る。
A「あの、良かったらお入り下さい。」
驚いた顔をしてる男性。向かいにいたからわからなかったけど身長高いな…
A「濡れていては風邪引きますよ。どうぞ、中に。タオル用意してきます。」
私は男性を中に入れ、空いてる席に座らせる。ポカーンとしている男性はすんなり座ってくれた。
タオルを持って男性のところに行くとやっと頭の整理が出来たようで、辺りを見回していた。
A「お待たせしました。どうぞ、遠慮なく使ってくださいね！」
そう言ってタオルを差し出す。男性は私をじっと見つめてきた。どこか上の空のような
A「あの…？」
？「あ！すみません！ありがとうございます！！」
ふと、我に帰ったのか慌てた口調の男性。店に響く声量で少し驚いたがなんだか面白かったので笑ってしまった。
A「ふふ、良かったです。」
よし！次に暖まる物！私のバイト代から引かれるけど風邪は引いて欲しくない。
手早く、レモンティーを作る。飲みやすいように蜂蜜を入れ、レモンを浮かべる。
A「うん、完成！」
男性は髪の毛をタオルで拭いていた。赤い髪がタオルによって揺れる。
A「お客様、宜しければこれを。暖まりますよ。」
私は男性の机にゆっくりレモンティーを置く。彼はかなり驚いた顔をして、「でも！」と言っていた。これは私のおせっかいだ。心配って言うのもあるけどどこか心の中で『お話してみたい』と思ったのだ。まぁ、そこを隠してサービスということと心配だったという旨を伝えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RUI | 作成日時：2018年11月11日 17時
