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サイン会が終わったものの、念の為と比較的大人な性格が多いボーカルチームの車に乗せられる。
3列あるうち運転はマネージャー、助手席はウジ。
真ん中はドギョマとスングァナ。
Aはもちろん3列目、僕とハニの間に座る。
サイン会中隣に座っていたハニは、あれからずっとAの手を握っている。
どこかに行かないように、だそうだ。
『私、パフォチの車に戻ってもいいですか？』
「よくこの状態で戻れると思ったね」
『怒ってるの？』
jh「当たり前だろ」
「……A、自分のことは大切にって約束したでしょ」
『！……うん』
「僕達は、自分のことより人のことを優先したAに怒っているんだよ」
『でも』
jh「でもじゃない。あの場では言わなかったけど、本当に心臓止まるかと思ったんだ」
「ハニがこんだけ言うってこと、分かるでしょ？」
『………………はい』
僕らの説教を前の3人は黙って聞いている。
みんな言いたいことは同じだから口を出しても意味が無いと何も言わないだけだ。
「最近も過激なサセンに付きまとわれて、ボロボロになるまで言わなかったこと怒ったよね？」
『はい』
「今回も相手が悪いのなんて100も承知だけど、Caratたちが見ている中で自分を大事にしないのはダメだよ」
jh「あとでスニョンに謝っときな、あいつ自分のこと責めてた。オッパはAが今ここで怒られてるの見てるからもういいけど、スニョンはわりと気にすると思うから帰ったらちゃんと謝れよ」
『……わかった、ごめんなさい』
「次からはちゃんと避けれそうなら避けて。Aの顔が傷つくのは嫌だよ」
そっと手を触れると少し怖かったのか、びくりと体を震わせる。
メイクを落としたAの頬は青紫の中に内出血の赤が滲んでいる、相当痛かっただろうな。
「……痛いでしょ、怖かったね」
『……………………』
こくり、と下唇を噛みながら悔しそうにする。
ハニが撫でてあげてるから安心感が出てきたのか、静かにすすり泣き出した。
そう、まだこの子は14歳。
デビューして2枚目のアルバムのサイン会で殴られたことになる。
こんなこと普通は体験しない、悪くて無視されるぐらいなのに。
けれど彼女の美しさ故の行動なのは明らかだった。
自分だけのものにしたい、そんなこと世界中が思ってるに決まってる。
美しさすらAを傷つけるなら、僕だけが守ってあげたい。
本当に、心からそう思うけれど口には出さない。
僕だけの内緒。
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作者名：輝夜 | 作成日時：2023年4月2日 16時
