サファイアの瞳 (ページ20)

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sc「それ本当か？」

dn「僕が嘘言うとでも？この目で見ました」

学校から帰ってきたAとディノ。
Aは相変わらず口数が少ない上、練習以外は部屋に閉じこもっている。たまにウジの作業室に行っているみたいだけれど。
ディノを呼び出して週一報告を聞いていると、
校内に、それもAと同じクラスにとんでもない強火ペンがいるとのことで、彼女は毎日その人のせいでイライラしていると。
ディノ曰く彼女の友達からこっそり教えてもらったみたいで、クラスメイトもAを彼から引き離したりできるだけ1人でいないようにはしているみたいだけれど、それももちろん限界があるようで困っているのだと。
皆思春期だし少しのことで反抗するのは同じだけど、Aは文句をひとつも言わずに色んなことをこなしているのに彼の相手までして疲れている、最近はあまり笑わなくなったと言っていた。

でもこの事実を知ったところで俺たちは対処出来ない。
ディノもできるだけ早くAの教室に迎えに行くようにはしているけれど、彼女の友達が一緒にいる時でさえも付きまとわれているのだと。
このままではAだけがしんどい思いをするだけです、と彼女の友達は言っていたらしい。

思えば練習が終わってもいつも残って修正したり、ホシやディノに振りを教えて貰っているのに最近は残りすらしなくなった。
思春期だから仕方ないのかなと思っていたのに、そうじゃなかった。
彼女は『思春期』というワードに甘えるような子じゃない、わかっていたのに気づくのが遅れてしまった。
これはやらかしていたのだと。

dn「同じ学校なのに、塔も階も違うから助けれないんです……ヒョン、Aにこの事話していいと思いますか？」

sc「あー……そうか、Aは俺らが知ってると思ってないのか」

dn「でもこのままじゃきつい練習に加えてメンタルまでやられちゃいます」

sc「だよなぁ……」

宿舎で一緒に住んでいる俺らに八つ当たりしたくないからなのか、本当に会話が減ってしまったのは事実で。
でもこのことを知ったら彼女を助けたい気持ちはみんな一緒だろう。
でも助けることはできない、ディノも来年卒業だし……。

sc「とりあえず話してみるよ、」

dn「一緒に行きます」

基本行動を共にしてるから何も言われないはず、と付き添いを決めてくれたディノ。
お前も立派なオッパになったんだな。