SJ 草食Ｋ？Ｒ？Ｙ！２

74.荒くなる鼻息 ページ24

Aが戻ってきた


「シャワーありがとう」

「う、うん…」


俺のスウェットはAには少し大きかったみたい
頭にタオルを被せたままで顔を隠しているけど…くそくそ可愛い！
荒くなる鼻息を必死で閉じ込めて平然を装った


「えっ、と」


Aは立ち止まったままでこっちにこない
なんで？あ、俺の座る位置が悪いのか！
ベッドの縁に座っていたのを壁際まで移動して、Aを呼んだ
遠慮がちにベッドに座ったAは、俺に背を向けたまま視線を落としている
うーん…


「寝れそう？」

「まだ、眠くない…かな？」


どうしよう、何かあったかな
ぐるりと部屋を見渡すと、最近取材を受けたファッション誌が目に入った
貰ったのはいいけど、まだ見てなかったんだよなー


「これ見る？」

「うん」


雑誌を広げて寝転ぶと、Aも横に来てくれた
ページをめくるのをAに任せて一緒に覗く


「あ、これヒョニさんの店にあった服！」

「へぇ…」

「あ！私仕事変わりました」

「へぇ…えっ？」


危うく聞き流すところだった
ついでに今日の出来事を全部聞かせてもらった


「怖かったよな」

「みんなのお陰で結構平気。犯人はムカつくけど！」

「でも新しい店、Aの家から自転車だと遠いよ。引っ越したら？」

「うーん」


Aは悩んでいるみたいで、うつ伏せのまま腕に顔をうずめた
はらりと髪が滑り落ちる
触りたくなって手を伸ばした


「犯人はいなくなっても、覗ける環境には変わりない。心配だから引っ越してほしい。悲しい思いはしてほしくない」


髪を撫でながら気持ちを伝えると、Aは小刻みに震えだした
鼻を啜る音も聞こえだす


「思い出させたか？…ごめん」

「ちがっ、うれ、しくてっ」


髪を撫でる手をAに取られた
泣きながら俺を見て笑う


「そんなふうに考えてくれるなんて…いぇそんさんの気持ちが嬉しい」


あぁ、もう無理だ
そのままゆっくり引き寄せると、抵抗もせずに近付いてくる
これっていいんだよな？そういう事だよな？

背中に手を回して更に引き寄せると、Aはゆっくり目を閉じた

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