SJ 草食Ｋ？Ｒ？Ｙ！２

63.ピアス ページ13

「あのね！無理に決まってるでしょ！」

「そう？手頃な値段だと思ったんだけどなー」

「アナタは芸能人、ワタシ一般人！わかる？
トップアイドルきゅひょん、フリーターA、最高賃金、最低賃金！」

「わーかった！わかったから少し黙って。ま、さっきのとこは断っておくから」

「当たり前なんですけど」


きゅひょんの行き着けだというカフェ？に来た
薄暗いどことなく怪しげな店内、奥の席へ案内されると、私たちはコートを脱いだ


「…ぷっ」

「笑うな」


コートの下から現れた奇妙な色と柄のシャツに吹き出す
きゅひょんは恥ずかしそうに身を屈めながら睨んできた
全然怖くないもんね！恐るべし変なシャツの威力！ぷはっ

窮屈そうな姿勢が見ていて辛くなってきた
…笑いも止まりそうにないし


「これ、貸してあげようか？」


自分が着ていたオーバーサイズの黒いカーディガンを引っ張って聞いてみると、きゅひょんは小さく頷いた
カーディガンを脱いで渡すと、素早くそれを着込んだ
うん、マトモになった
きゅひょんも満足そうに笑っている


「ポケットに何か入ってる」


いい匂いがする、と、私のカーディガンを漁っていたきゅひょんがテーブルの上に置いた


「ああ、これだけ売れ残り」

「他は全部売れたんだ、良かったね」

「うん、でも寄りによって一番のお気に入りが残るなんてなー」


羽根をモチーフにして作ったピアスを目の前まで持ち上げて眺めた


「…それ、俺に頂戴」

「え？いいけど…きゅひょん穴ないよね」

「うん、でも気に入ったから。これヘビでしょ？」

「羽根です」


ふたりの間に沈黙が流れる
それを壊すように、マスターがコーヒーを運んできた


「はい、コーシー」

「マスター、コーヒーですって」

「今日はまた若いお姉ちゃん連れて。
お姉ちゃんにはサービスで、ほれケーチ」

「ケーキですよ」


異国情緒溢れるマスターは「相変わらずうるさい若者だな」と行ってしまった


「ここのマスター、色んな言葉を少しずつ間違えてるんだ、面白いだろ？」

「ふふっ、コーシー飲みながらケーチ食べよう！」

「ヘビのピアスはおいくらですか？」

「ヘビのピアスは取り扱い御座いません。羽根のピアスならございます」

「ならそのヘビをください」

「羽根だってば！」


会話が尽きないのは楽しいけど
…これくらい話してくれたならもっと、

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