SJ 草食Ｋ？Ｒ？Ｙ！２

62.じゃん！ ページ12

きゅひょんを痛く気に入ったヒョニさんの計らいで、地味服から抜け出したきゅひょんと１つの傘に入って歩く


「悪夢だ…」

「良かったね、ちょっとだけ格好良くなったよ…見る人が見れば」


ヒョニさんがごり押しする服を引きつった顔で受け取ったきゅひょんには笑わせてもらった
渡された服を見ると、あまりにも可哀相で…
パンツだけは私がヒョニさんを説得して選んであげたからまだマシだ
コートを脱いだら…プププッ


「これじゃオーラ消してても意味ない」

「大丈夫、傘で顔見えないから」

「ぐえっ…低い、腰痛い。もっと上」


傘を下に引っ張ったら、きゅひょんから変な声が出た
きゅひょんに傘を渡すと意地悪されそうだから、私が傘を差しながら物件を目指す
相合い傘も、相手によってはこんなにもときめかないものなんだなー、ふむふむ


「あ、Aコッチ」


真っ直ぐ行こうとしたら、きゅひょんにぐっと肩を抱かれた


「…もっと早く言ってよ」


肩に置かれた手を掴んで退ける
その手はすぐに肩に戻ってきた


「濡れるから、俺が」


肩から伝わるきゅひょんの体温が高く感じる
…大丈夫かな、


「ここ。知り合いの所なんだ」


なかなか立派な建物だ
きゅひょんがインターホンを押すと、すぐに自動ドアが開いた


「ほら、こことあそこに防犯カメラ。あとどっかに隠しカメラが…」


きゅひょんの説明を聞き流しながら、促されるままに歩いていくと、一つのドアの前で男の人が立っていた


「いらっしゃい」

「兄さん、こちらがAさんです」


Aさん、だって…気持ち悪ー
そんな気持ちを隠して笑顔で頭を下げる


「可愛らしい方じゃないか、きゅひょんもやるなぁ」

「いやいや」


ん？


「じゃあ早速」


鍵を開けてもらって中に入ると、一人暮らしには広すぎるリビングが広がっていた


「バス・トイレはこっちで――」


どこを開けても贅沢すぎる広さ
こんな所住めるわけないじゃん!!


「――で、どうかな？」

「あのー、ここおいくらですか…？」


お兄さんから書類を貰って恐る恐る見てみる


「お、なかなかいいんじゃない？」

「！！！！！」


きゅひょんが覗き込んできて、ひとり納得して頷いているけど、広さ相当の金額が書かれていた
払えるわけないじゃん！

63.ピアス→←61.水も滴る

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す