第16話 ページ17
『青い苺』
結婚式場の披露宴を模した明るくてきらびやかなステージ
何度もシミュレーションしてきた光景が今、目の前に現実として現れた
この曲は"いちご"と"あおい"、二人の絆と未来を歌った幸福感溢れる歌詞を、
真っ白な愛の祝福で包み込んだような、聴いているだけで幸せになれそうな、そんな歌だ
ランウェイには真紅のロールが敷かれる
それは純潔の乙女のみが歩くことをゆるされた道
一歩踏み出すと同時に、星宮先輩は顔を上げた
『髪が伸びたんだね、いつも会いたかった』
『変わらない笑顔はすぐに離れた時間埋める───』
胸に抱えたのは、マイクではなくバラの
そして反対の手は、あおい先輩の手を握って引いた
『最初に交わすのはありふれてる言葉、でも』
『憶えてる香り、今も甘い苺の匂い───』
二人の花嫁が祝福の中を歩く
その光景はあまりにも眩しくて・・・、
私はそれを直視できなかった
ファインダーを覗き込んで、フレームの中であおい先輩の姿を捉える
ああ、なんて綺麗な人なんだろう、
どうして、どうして、
隣を歩いているのが私じゃないんだろう?
ピピ、カシャ
シャッターを切っても、私の心は写真の中みたいに止まってはくれない
動いてる、生きているから、
こんなにも愛しくて苦しい・・・、
『きっと忘れないよ、君と過ごした日々を』
『きっと忘れないよ、胸の奥───』
幸福を歌った歌詞は、まるで私に別れを告げようとしているかのように聞こえた
☆★☆★☆
ショーは大成功をおさめた
この斬新な試みにみんなが夢中になっていたから
私は・・・、
会場の片付けが進む中、ひとりスタッフルームに戻っていた
バインダーから一枚のフォトを取り出す
『
私が初めて撮った、あおい先輩のプレミアムドレス
フォトの中のあおい先輩は流れ星のようにキラリと微笑むばかり
こんなはずじゃなかったのに・・・、
蘭「どうだ?うまく撮れたか?」
はっと顔を上げると、そこには紫吹先輩がいた
私は泣きそうになっていたのを慌てて必死でこらえた
蘭「いちごとあおいのやつ、用事があるとか言ってあたしを置いて先に帰っちゃうんだもんな、まったく・・・、で、タクシー呼んだんだけど、乗ってくか?」
A「・・・、ふたりは今どこに?」
蘭「さあ?まあ、幼馴染だし、色々あるんじゃないか?」
私の頭の中に、最悪の光景が浮かんで、焼き付いた
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きらるり(プロフ) - こんにちは!コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてとても光栄です!これからもドキドキなお話を書けるよう頑張ります♪ (2016年9月5日 6時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
小林ふうり@dr(プロフ) - 面白かったです。私はあおい推しなのでとてもドキドキして、良かったです。これからも、頑張ってくださいね! (2016年9月3日 15時) (レス) id: d5d4dc728a (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 夏気味うどんさん» はじめまして!読んでくださってありがとうございます!そう言っていただけると本当に嬉しいです!書いてよかった・・・(´▽`) こちらこそコメントありがとうございました!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
夏気味うどん(プロフ) - わーーー!!こういうお話待ってました!!素晴らしい小説ありがとうございますっ!!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 90d1ded8fc (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 唯さん» 唯さんいつも一番乗りありがとうございます!更新頑張ります!ドロシーのお話も半分くらい下書きできてるのでもうちょっと待っててください( ; ̄ω ̄)ゞ (2016年8月4日 22時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きらるり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/krrr_homepage/
作成日時:2016年8月3日 23時