第9話 ページ10
ジューンブライドショーまであと一週間を切った日
当日前の最後のオフ、私はカメラを持ってフィールドワークに出かけることにした
普段アイドルを撮るのに使うのは、専用のアイカツフォトカメラ
でも私は入学前に買ってもらったお気に入りのコンデジをポケットに滑りこませていた
私が本当に撮りたいものは何だったんだろう
その答えを探すために
☆★☆★☆
青い空に広がる白い雲
木に止まった小鳥たち
木漏れ日の下に咲く花
世界は綺麗なものに満ち溢れてる
ピピ、カシャ
A「(あ、いい構図、でも・・・、)」
これじゃない。
私は公園のベンチに身を投げだした
やっぱり誰かを撮りたいな・・・、
蘭「何してるんだ?」
A「あ」
立っていたのは、紫吹先輩だった
制服だから仕事帰りなのだろう
A「お疲れ様です、先輩」
蘭「そのカメラ、いつものじゃないな」
A「私物です、1枚いいですか?」
私がカメラを縦に構えると、紫吹先輩はフッと余裕げに笑って角度をキメた
うわ、すごい!一瞬で"絵"になった、すかさずシャッターを切る
ピピ、カシャ
A「さすがですね、スパイシーアゲハのミューズさん」
蘭「まあな」
強い日差しを反射するコンクリの地面、公園の木々の照り返しは蒸し暑く苦しいイメージを想起させる
でも紫吹先輩の涼し気な目線にフォーカスを合わせただけで、見えるものは変わってくる
暑さなんて忘れて、私もその場にいたいと思わせるような引力のある一枚に
蘭「楽しそうだな」
A「えっ?」
蘭「さっきまで小難しい顔してたのに、今はイキイキとしてる。撮るのが好きなのがわかって、こっちまで楽しくなりそうだよ」
イキイキとしてる・・・、
私が?今?
ポカンとしてる私を見てちょっと恥ずかしくなったのか、紫吹先輩はそっぽを向いた
その表情はハッと息を呑むほど綺麗で―――
次の瞬間、手が勝手に動いた
ピピ、カシャ
蘭「あっこら、変な顔撮るな!」
A「先輩、ありがとうございました!私、なんかわかりました!」
蘭「は?なに?」
困惑した紫吹先輩の顔を、もう一枚
ふふっ、そうだ、これでいいんだ
何を撮りたいとかじゃない
楽しいんだ、撮るのが
カメラを向けられた人が、どんな気持ちでレンズを見るのか
どんなリアクションが待っているのか
紫吹先輩を"ミューズ"にしたデザイナーさんの気持ち、ちょっとわかったかも
でも私は撮りたい、あの人を、
あおい先輩を・・・、
私は夏の日差しの下を走りだした
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きらるり(プロフ) - こんにちは!コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてとても光栄です!これからもドキドキなお話を書けるよう頑張ります♪ (2016年9月5日 6時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
小林ふうり@dr(プロフ) - 面白かったです。私はあおい推しなのでとてもドキドキして、良かったです。これからも、頑張ってくださいね! (2016年9月3日 15時) (レス) id: d5d4dc728a (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 夏気味うどんさん» はじめまして!読んでくださってありがとうございます!そう言っていただけると本当に嬉しいです!書いてよかった・・・(´▽`) こちらこそコメントありがとうございました!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
夏気味うどん(プロフ) - わーーー!!こういうお話待ってました!!素晴らしい小説ありがとうございますっ!!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 90d1ded8fc (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 唯さん» 唯さんいつも一番乗りありがとうございます!更新頑張ります!ドロシーのお話も半分くらい下書きできてるのでもうちょっと待っててください( ; ̄ω ̄)ゞ (2016年8月4日 22時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きらるり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/krrr_homepage/
作成日時:2016年8月3日 23時