第18話 ページ19
あれだけ自分でお膳立てしたのに・・・、
星宮先輩は、あおい先輩に告白していない
どうして?
あおい先輩にとって星宮先輩がどれほど特別な存在なのかは誰の目にも明らかだ
今更なにを躊躇っているの?
A「(・・・いや、)」
その答えは、私もよく知っていた
だって私は星宮先輩と同じだから
"片想い"しているだけの、ひとりの女の子
もしも、もしも拒絶されたら・・・、
そう考えれば告白を躊躇するのは当たり前だ
ましてや星宮先輩は私よりもずっと長い間、苦悩と戦ってきたはず
喪失への恐怖は私には想像もできないほど深いに違いない
そう、恐怖・・・、
あの星宮いちごが、本気で恐れているのだ
「好き」の気持ちを拒絶されることを
私と同じように。
☆★☆★☆
その夜、私は星宮先輩に電話をかけた
あおい先輩は深夜ロケに出かけてまだ帰っていないはず
いちご『もしもし?どうしたの?』
A「単刀直入に聞きますけど、先輩、まだ告白してないんですね」
窓からひやりとした冷気が入ってきて、私は静かに閉めた
怖くない、向き合って、戦わないと
いちご『言いたいことはそれだけ?』
A「私は告白します、必ず」
答えはない。私は冷たい満月を見上げて、深呼吸した
A「だから交渉しましょう」
いちご『交渉はしないよ、あなたが身を引くの』
A「嫌だと言ったら?」
いちご『あのね、私は"提案"してるんじゃないよ』
星宮先輩の声色が変わった
電話越しとは思えない、信じられないほどの迫力に手が震える
いちご『あなたが身を引くの、わかった?』
A「・・・あなたは、恐れている、あおい先輩に拒絶されるのを。そんな人にあおい先輩は渡せません」
沈黙・・・、
A「卒業までは待ってあげます。星宮先輩には私の先を行く権利があると思いますし。でもそれからは、私も好きにやらせてもらいますから」
いちご『・・・それが本当にあおいのためになると思ってるの?』
ドキン―――
私の不安は見抜かれている
でもそんなことは百も承知だ
A「私はただ伝えるだけです、選ぶのはあおい先輩ですから」
いちご『それがあおいの気持ちを考えてないって言ってるの!』
A「どうして星宮先輩がそう言い切れるんですか?とにかく、卒業までです。それでは」
返事を聞かずに電話を切った
これじゃ交渉っていうか宣戦布告だ、でもきっとこれでいい
待受のあおい先輩に、私はそっとキスをした
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きらるり(プロフ) - こんにちは!コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてとても光栄です!これからもドキドキなお話を書けるよう頑張ります♪ (2016年9月5日 6時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
小林ふうり@dr(プロフ) - 面白かったです。私はあおい推しなのでとてもドキドキして、良かったです。これからも、頑張ってくださいね! (2016年9月3日 15時) (レス) id: d5d4dc728a (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 夏気味うどんさん» はじめまして!読んでくださってありがとうございます!そう言っていただけると本当に嬉しいです!書いてよかった・・・(´▽`) こちらこそコメントありがとうございました!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
夏気味うどん(プロフ) - わーーー!!こういうお話待ってました!!素晴らしい小説ありがとうございますっ!!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 90d1ded8fc (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - 唯さん» 唯さんいつも一番乗りありがとうございます!更新頑張ります!ドロシーのお話も半分くらい下書きできてるのでもうちょっと待っててください( ; ̄ω ̄)ゞ (2016年8月4日 22時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きらるり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/krrr_homepage/
作成日時:2016年8月3日 23時