第5話 夢の続き ページ6
A「あーっ、待ってー!」
スミレ「行っちゃった」
夕方、のんびりしすぎた私たちはバスに乗り遅れちゃった
次のバスまでしばらくある
仕方なくベンチの端っこに並んで座った
すっかり暗くなった空には真っ二つに割れたような半分の月がすでに登りはじめていた
平日の駅前は忙しそうに行き交う人たちで溢れている
いろんな人たちがこうして毎日頑張っているんだなあ
A「みんな、何だか大変そう・・・、ああいう人たちにも私たちアイドルが笑顔を届けられたらいいね」
スミレちゃんは返事の代わりに私の肩に頭を乗せてきた
スミレ「Aちゃんは偉いね、いい子だね」
A「そうかな?」
スミレ「私は本当は悪い子なのかも」
そんなことないよ・・・、
私はスミレちゃんに少しだけ寄りかかった
A「スミレちゃんのアイカツで、元気になったり、勇気をもらった人はいっぱいいるよ。私もそう。そんなスミレちゃんが悪い子なわけないよ」
スミレ「それはきっとただの結果なの。アイドルとしての私は『いい子』なのかも。でも『本当の私』は何をしたかじゃなくて、私自身がどうなりたいのかで決まると思う」
急に難しい話になっちゃった
よくわからないけど・・・、スミレちゃんは自分を悪い子だと思ってるの?
スミレ「アイカツを始めたのは、夢ができたから。でも今の私がアイカツを続けているのは・・・、」
ちゅっ
A「へっ?」
スミレちゃんが私のほっぺたにキスをした
ちょっ、どうしたのいきなり?照れるんだけど!
スミレ「ねえ、このまま二人きりでどこかに行こう?誰も私たちを知らないような遠いところまで・・・、」
A「どうして?明日もお仕事があるし、急に休んだら・・・、」
何だかスミレちゃんの様子が変だ
まるで昨日の夢の終わりみたいで・・・、
スミレ「そう、そうだよね、Aちゃんならきっとそう言ってくれると思った」
スミレちゃんはカバンに手を入れて、何かを取り出した
黒く塗られた鉄が、月の光をギラギラと反射していて・・・、
A「うそ・・・、そんな・・・、」
ピストルが私のおでこに押し当てられた
スミレ「私、ちょっと間違えちゃったのかも。ごめんね」
A「どうして・・・、」
スミレ「でも大丈夫、いつかはきっと幸せになれるから」
パン!
あの音がした。
私は視界が真っ暗になった。
何かを考える間もなく・・・、
そして私は、あっけなく死んだ。
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きらるり(プロフ) - ゆゆゆさん» ゆゆゆさん!いつも嬉しいコメントをありがとうございます!!月の描き方はこだわりポイントなので気付いてくださって感激です(´▽`) ゆゆゆさんも熱中症に気を付けて頑張ってください☆ 読んでくださってありがとうございました!! (2018年8月18日 0時) (レス) id: cabc9f41a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - →気になりますがスミレちゃんが宵闇のコーデに操られているわけではなく自ら行動しているので主人公も受け入れたのかなと自分は思いました。近頃は暑い日が続きますがお身体に気をつけて頑張ってください。素敵な作品ありがとうございました。長文で申し訳ないです。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 361e2104ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - とても面白かったです。特にエピローグでの「今夜は月が満ちているの」というスミレちゃんの言葉を読んだ時すごくドキドキしました。マガトのまじないが満月の日に完成すると本文中にあったので。エピローグでのふたりの儀式は夢なのか現実なのか→ (2018年8月17日 22時) (レス) id: 361e2104ee (このIDを非表示/違反報告)
きらるり(プロフ) - Twilight Win the Crownさん» ありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです (2016年1月25日 17時) (レス) id: f49683637b (このIDを非表示/違反報告)
Twilight Win the Crown - すっごい面白かったです!! (2016年1月25日 15時) (レス) id: e0c7f304cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きらるり | 作成日時:2015年12月8日 19時