レグアナ魔法学校のファンタジア。【歌い手】

22話 side坂田 ページ23

「もう大丈夫か？」



「…うん！！ごめんな、心配かけて！！」



やがて俺が泣き止んだのは、丁度朝日が部屋の中に射し込み始めた時だった。



俺はそう言って、涙の跡を綺麗に拭う。



そんな俺を見たあまちゅが、



「うん。坂田は笑顔の方が似合う！」



「そ、そぉ？なんか恥ずかしいな…」



「はいはい。じゃあ正式に契約するよ。坂田だけじゃなく、まふまふもAちゃんも、大丈夫？」



言葉を被せたそらるさんが、部屋の真ん中に移動する。



「校長から聞いたと思うけど一度入ったら退学するか、卒業するかまで抜けられない。人魂と戦う危ないグループだけど、それでもこのグループに入ってくれる？」



「…もちろんです。Aちゃんも、おんなじです」



『私を受け入れようとしてくれる人達と一緒にいたい。』



まふが自分の気持ちと、Aちゃんの気持ちの両方をしっかりと伝える。



…なんか、あいつも変わったな。



「わかった。じゃあこれをはめて。これで、正式に契約した事になるよ。」



そう言ってそらるさんが手渡してくれたのは、朝日に反射して輝く小さな宝石が埋め込まれた指輪だった。



「これがあれば、相手側の許可が出れば魔力共有もできる。そして遠くにいても会話できるというシロモノだ。迷子になった時はこれで助けを呼んでもいいよ」



「なんで俺を見るん！！」



ちらっとこちらを見られたのでそう言ってやると、そらるさんはふっと笑った。



そして、一年生全員が指輪をはめるのを見届けると、凛とした声でそらるさんはこう言った。




「…ようこそ。レグアナ魔法学校の『ファンタジア』へ。」









『あ゛あああああ゛ああ゛あああ゛！！！！』



俺は聞こえてしまうそんな絶叫に、彼女から目線を逸らした。

23話→←21話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す