32話。 ページ33
今でもよく覚えている。
あの時は体育が終わって、教室に戻る時だった。
そんな暗い私に、声をかけてくれた子がいた。
「A、一緒に行こ？」
彼女はクラスどころか学年のリーダーと言っても過言ではないほど明るく、そしてはっきり物を言える子だった。
先生とも仲が良く、私が彼女に憧れる日はそう遠くはなかった。
それから私は彼女にひっついて毎日を過ごしていた。
放課後一緒に遊んで、修学旅行の遊園地も一緒に回って、それなりに充実してたと思う。
「でもさ、相手はそうは思ってなかったみたい。」
緊張したように背筋を伸ばす天宮くんが、小さく顎を引く。
私は目線だけ彼から逸らして、鮮明に頭に浮かぶあの日を見据えた。
「ある日ね。またその子と遊んでる時、私が席を外して部屋から出る瞬間に、その子が言ったんだ。」
『クラスで嫌いな人、誰？』
その日を境に徐々に冷たくなっていく彼女を見て、私は思ったんだ。
「あの時言ってたクラスで嫌いな人は、私だったんじゃないかってね。」
更に、中学三年の頃、似たような事が起きた。
今度はその子ではなく、別の人だった。
「あの子だけじゃなかった。他の人間も、また私から離れていっちゃうんだって。自分のどこに非があるのか、今でも分からないまま。仲良くなっていくほどその人が信じられなくなっていくの」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るぅ(プロフ) - 小説見ても、最後のあとがき見ても泣きました！最高でした！これからも頑張ってください！全力で応援してます！！ (2018年9月22日 22時) (
レス) id: 44848c94a9 (このIDを非表示/違反報告)
しあ。(プロフ) - うはー、セイシュンすぎるー( ・ω・) (2018年7月20日 10時) (レス) id: 3344a8c17f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずもち - なので周りの人に悩みが伝えられて『不登校』などでも自分で考えて選択できている人は私なんかより強い人だと思います。(実はリスカとかもしてしまっていて)こんなものをネットでしか出せない、しかもまとまりの無い自分語りでした。長文すいません (2018年7月11日 2時) (レス) id: 59a56879c2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずもち - 私は小説とかで出てくる『何でも言える友達』という存在が羨ましいです仲のいい子はいるけどどこか信用できなくていつも八方美人してしまって学校から帰って暗くなってしまいますでも不登校になったりとか特別な教室での通学するほどの勇気すら持てません (2018年7月11日 1時) (レス) id: 59a56879c2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずもち - 今回も素敵なお話でしたなんだか温かい気持ちになりました (2018年7月11日 1時) (レス) id: 59a56879c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
