4章 ページ19
空気が凍りつくとは、多分今の状況を言うのだろう。
俺の言葉に坂田の不思議そうな顔が驚き一色になり、センラくんの挑発的な瞳が一気に温度を失う。
ただ一人。明るい表情をしたluzは、無自覚にその表情を艶っぽいものに変えた。
「…それは一体、どういう」
まふまふの可愛らしい声には、焦りも含まれているようだった。
まぁ、そうだろう。
俺がやろうとしている事は、正しく不可能だ。
だって、
「…面白い冗談ですねぇ」
静寂を、滑らかな声が引き裂く。
センラくんはそのはんなりとした京都弁に棘を生やして俺の喉元に突きつけた。
「A様の正体を暴く…ですか?これは笑える。てっきり静かな人やと思うてましたけど、冗談も言いはるんですね」
「冗談やないでセンラくん。俺らは本気で、A様について知りたいの」
「…っ」
センラくんの冷えた声に、luzがはっきりと言い切る。
それに肩を揺らした坂田に、まふまふと天月が息を飲んだ。
「俺、聞いたよな、センラくんに。
「…えぇ」
「だって可笑しいやん?「知りたい」ってだけでみんなが怖気付くような一族の人間が、なんでこんな警備が手薄で、しかも当主様も両親すらおらんこの場所できみらだけと暮らしてるなんてさ。」
由緒正しい黒川家の一人息子であるluzには、分かるのだ。
この場所の、異常さを。
43人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのこゆり - くりふわ@想伝さん» 質問に答えていただき、本っ当にありがとうございます!バッチリ伝わりました!すごすぎて「あなた」と呼べないほど権力が強くて、手の届かない場所にいる主人公ちゃん。なるほど、そんな思いで「is」なのですね!第三人称の話も納得です。ありがとうございました! (2018年7月18日 23時) (レス) id: 175296d32b (このIDを非表示/違反報告)
くりふわ@想伝(プロフ) - かのこゆりさん» ありがとうございます!!!おぉ…!!前から読んでいただけていたなんて嬉しいです!!!これからもご期待に応えられるよう頑張りますので、また見てくださると幸いです!!また、isの意味は本編で解説しようと思うので少々お待ちください!! (2018年7月18日 13時) (レス) id: 77ed961b3e (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - もしよかったら、なぜ「Who "is" you」にしたのか教えていただきたいです一個前のコメント、送れてないと思って二度送っちゃいました(汗)気にしないでください。長文失礼しました。 (2018年7月18日 12時) (レス) id: 175296d32b (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - あ、ちなみにまふくんの最後の一言について。さかたんが「鳳凰は愛の象徴」といっていることから「ぼくも『あい』、くれませんかね」という意味だと思いました。最後にいろいろな解釈ができる言葉を持ってくるあたり、さすがくりふわさん!という感じです。 (2018年7月18日 12時) (レス) id: 175296d32b (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - はじめまして!かのこゆりです。やっぱり素敵ですね…。どうしたらこんなに読みやすくて美しい文章が書けるのか教えてほしいです!ひっそりと読んでいたのですが、やっぱりくりふわさんのファンです!これからも素敵なお話を書き続けて下さい!応援しています! (2018年7月18日 12時) (レス) id: 175296d32b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ