弱虫弟子と強がり師匠６ (ページ8)

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偽物ページ8

「…君、誰？」
死神は、不思議そうに首を傾げる。
「何を言ってるんだ？生き神」
「死神じゃ、ないよね。少なくとも」
「生き神様…？」
先程まで朗らかな雰囲気だった生き神から
明確な疑いを持った言葉が放たれていく。
「だって…」
瞬き１つする間に、生き神は死神の目の前まで迫っていた。
その手には銀色の光る短刀が握られている。
瞬きをもう一つする間に、短刀が死神を突き刺し、穴を開ける。
「死神がこんなに弱いわけないもんね」

五代神は、それぞれ神器と呼ばれる武器を持っている。
雨神は"雨蓮の槍"
破壊神は"再生の剣"
天照大神は"八咫鏡"と"草薙剣"
死神は"冥府の鎌"
生き神は"生命の短刀"
それぞれの武器は、五代神それぞれしか扱えず
また、その神の力を最大限に引き出してくれるという。

死神は、先刻たっつんがなったように、ドロリと溶けて消えた。
「うーん…やっぱり、何かありそうだね」
生き神は冷たい目線を屋敷に向ける。
「タイミングからして、この屋敷に入れたくなかったのかな？」
死神が閉じこもっているという屋敷。
どぬくが壊そうとした途端に現れた偽物。
「死神はあんな力を持っていないだろうし…。誰の仕業なのやら」
生き神は豪華な扉に手を付けて、金色の目を鈍く光らせる。
扉は瞬く間に崩れ落ちた。
「…え」
「あ、力加減間違えて壊しちゃった！えへ☆」
えへ☆、じゃない。
「まあ、壊れちゃったのは仕方ないし、中に入ろうか！」
(それでいいんですか、生き神様ぁ！？)
同じ五代神に対する扱いとは思えぬ暴挙。
しかし、生き神はそれを気にすることもなく祠の中に入っていった。

「死神ー？いるー？」
死神様の祠の中は物音１つせず、カツン、カツン、と自分たちの足音が目立つ。
中身は西洋館そのもので、数えるのも面倒くさいほどあるたくさんの部屋に豪華なベッド
今歩いている廊下だって、細部まで細かな装飾が描かれている。
本当に扉を壊しても良かったのだろうか。
「死神の部屋は…確かここだよね」
４階まである建物の２階の、とある部屋の前で生き神は止まり
ノックをする間もなく扉を開いた。
「ん？これは―――」
整理された部屋の中に死神はいなかったが、代わりに机の上に一冊の本が置いてあった。
「日記帳…？」
生き神はパラパラと日記帳をめくり、目を見開く。
「そっか…そういうこと…」
途端に生き神は走って窓に近づき、窓を全開にして外に飛び出る。
「生き神様！？ここ二階―――」
「ごめん！ちょっと急ぐ！」
部屋に残された日記帳を、どぬくはなんとなく開き
内容を見てみた。