弱虫弟子と強がり師匠６ (ページ4)

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偽物だと思う訳ページ4

「サンザシが…偽物？」
シヴァは、自分がそう考えた理由を説明する。
「まず、未来のどぬくんがえとちゃんを襲いに来て、それを今のどぬくんが助けて
　そのあと今のどぬくんが未来のどぬくんを抱えてどっか行ったんでしょ？」
「ああ…」
「その後未来のどぬくんがいなくて、どぬくんが帰ってきて、しばらくどぬくんが一人でコソコソしてると思ったら
　突然妖精の子を殺したんでしょ？」
「そうだな」
シヴァは、ベットから無理やり起き上がり、部屋の右側にある本棚まで歩く。

「あった、これだ」

シヴァはベットに戻ってきて…正確にはえとの妖気でベットまで安全に運んでもらって
本のページをパラパラとめくる。
「えーっと、いたのは未来のどぬくんで間違いないんだよね」
「ああ…その本は？」
「時空の神、ヒロ様の教え…などなど、色々な知識が詰まった教典」
シヴァは神への信仰心が高い訳では無いが、誰に対してどんな風に対するかは、神それぞれだ。
それぞれの神の由来や能力を事前に調べて、相手に対する態度を決めているのだ。
理由はよく知らない。

「えーっと…あ、あった」

〈時空神ヒロの教え第２５条〉
『過去を変えようとする者は数時間で存在が消える。
　未来は変わることを恐れる。我々は後にこれを禁忌と呼ぶ』

「この事から、えとちゃんを襲った未来のどぬくんは存在が消えたとして…問題はここからだよ」
シヴァは真面目な顔で続きの言葉を紡いでいく。

「今回のどぬくんの行動からして、恐らくえとちゃんが襲われたのは一度ではない。あまりにも対応に慣れすぎている。
　つまり、この仮説が正しいのなら、恐らくどぬくんは、未来のどぬくんと同じくなんらかの理由で時間をループしていることになる。
　行動を見た感じだと…一度や二度じゃないだろう。
　そして、そんな所業が出来るのは神の中でも唯一人。
　そう―――〈時空神〉ヒロ様くらいだよ。
　しかし、ここで疑問となるのは、なぜ現在のどぬくんは存在が消えていないのか。そこで、このページを見てほしい」

シヴァが開いたページには、人のイラストが書かれ、その周りに細かい説明が書いてあった。

「このイラストの人間は、最初に〈時空神〉ヒロ様に魅入られた子。
　ヒロ様に魅入られてしまえば最後、死ぬことなく永遠と時間をループさせられるんだ。
　つまり、どぬくんは現在、ヒロ様に魅入られている可能性が高い。…どこにいるかは、知らないけどね」

それはつまり―――

「…っ！ちょっと行ってくる」
「おっけー！気をつけてね！」
えとは、気づけばシヴァの屋敷を飛び出ていた。