破壊神、シヴァ ページ12
「は―――？」
黄緑色の髪、同じく黄緑色の目。
フードを外したシヴァさんは、多少の違和感こそあるものの、本人で間違いなかった。
首まで伸びる、右目の亀裂を除けば。
「名前を知られていないとはいえ、ここまでバレねェとはなァ」
少し訛りのある話し方、前に破壊神様に会った時と同じ話し方だ。
その話し方に、違和感はない。
あの時は神官服を着ていて分からなかったが、確かに彼は、破壊神シヴァとまったく同じ見た目だった。
「本当はさ、えとちゃんにだけはバレたくなかったんだ」
その話し方は、俺たちが知っているシヴァさんそのものだった。
「俺は、五代神では一番新しい神様だ。開放を強く望む者たちが、年が経つたびに増えていったからね。
それこそ―――自由のない身でありながら、神を作り出す材料をすべて集めてしまうほどに」
その時に生まれた破壊神シヴァは、カエルのパーカーを着た幼い子供のような見た目だったという。
「生まれた瞬間に、わかったんだよ。俺はこの人たちを開放するために生まれたんだって」
幸い、解放を望む者はこの世界に有り余るほどいた。
どれだけ自分を壊して、壊し続けても、お釣りが出るほどに。
「多くの者の開放を続けた俺は、あっという間に五代神まで上り詰めたよ―――それでも、そこは生き地獄同然だった」
他の五代神は、驚くほど強かった。
太陽そのものを操る"天照大神" 天候そのものを操る"雨神" すべての生物の生を司る"生き神"
すべての生物の死を司る"死神"。
自分なんて、足元にも及ばなかった。
「最初に君に会った時、驚いたよ。
本来Bランクであるはずの君は、Sランクまで上り詰めていた」
(本来Bランク？師匠が？)
座敷わらしは、本来幸せを運ぶだけの弱い妖怪だ。
しかし、えとは他よりも賢かった。賢かっただけに、気味悪がられた。
「どんな境遇だとしても、強くなった君を見て―――開放してあげたい、と思ったんだ」
神としての使命ではなく、自分自身の意見として。
「本当の強さに戻してあげたい、みんなと仲良くできるようにしてあげたい―――ってね」
それでも、弱い妖怪として実際に会った君はどうだろう？
自分の境遇を完全に理解して、その上で強くなっていた。
誰よりも強く、誰よりも美しくなっていた。
「だから、開放したい、なんて気持ちはすぐに収まった。君は開放を望んでいなかったからね」
だからシヴァは決めた。
友人として、えとの近くに居続けようと。
そうして彼女の美しさを汚す者が現れたら、その時は―――
この世の理の全てを壊してでも、彼女を守り抜こうと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青空 冬 | 作者ホームページ：sakurasaku
作成日時：2024年2月10日 22時
