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プロローグ 悪魔捜索 ページ1

悪魔捜索、というゲームを知っているだろうか?
ジョーカーの味方である♡Kingが勝敗を大きく分けるカードゲームである。
意外とマイナーなゲームで、知っている人は数少ない。

そのゲームの本意は、ジョーカーの手助けをする"♡Kingを探すことにある"。
そのゲームでは、それを"悪魔"と呼んだ。


「…」
突然、そんなゲームを思い出した。
フードの男―――九尾の狐は、オッドアイの目を伏せて
過去に思いを寄せる。
(そうだ、この結末は、悪魔を探すことにあったんだ)
裏切る人を、大切な人を、本当に守るべき人を
俺は君に、伝えられただろうか?
(それでも―――)
もうすぐ消えてしまう俺は、君の目にはきっともう映らない。
でも、本当に守るべき人を守るために
君が気づかせてくれた結末に進むために
そのために俺は、この世界線に来たんだ。きっと。
(お願いだから、師匠を助けてね)

過去の自分に、未来の無い自分に、大切な人に思いを馳せて
それぞれの未来を、この結末を二度と辿らぬように
この結末を消し去ってしまうために、俺はここに来た。

『お願いだから…お前だけは、幸せになってくれ』
『師匠…やだ、やだ!師匠も…師匠も幸せになってよ!』
『…ッ!ねえ、どぬく』

その続きの言葉は
どんな最期になろうと忘れられない最恐の呪いであり―――

(なんてね)

目の前に映る"俺"は、サンザシさんに刀を構えている。
これが本当の"俺"で、今意思を持っている"俺"は、世界から消えてしまった存在で
だからこそ、今ここで、背を向けて、消えてしまわないといけない。
それでも、臆病な俺は、それすらもできない。
(もう、消えないと―――)
「ねえ」
(―――?)
後ろを振り返ると、紫の目と目が合う。
そこには、ただ一人俺の方を向いた、憑神様―――もふくんが立っていた。
「そこに、誰かいるの?」
(…)
この子は、俺のことを認識できているのかな。
分からない、わからないけれど―――

「ねえ、聞こえていたらでいいんだ」
俺は、もふくんに話しかける。
「視えてる…わけないよね。そんな気はしたよ。
 だから、聞こえていなかったら、仕方がない。
 でもさ…もしも、本当に俺の事が分かるのなら、どぬくを守ってあげて」
もふくんは、少しだけ目を見開き―――
頷いて、どぬくの方へ歩いていく。
(そう、それでいいの)

少なくとも、そうすればきっと―――未来は変わってくれる。


さあ、時間が動き出す。
話を進める覚悟はあるか?

泣いてしまったほうが→



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作者名:青空 冬 | 作者ホームページ:sakurasaku  
作成日時:2024年2月10日 22時

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