存在が消えていく ページ17
「ねえ、妖狐くん…その小鳥、何？」
恐る恐る、どぬくに尋ねるサンザシ。
どぬくはただの小鳥だと答えたが、それでもサンザシは納得していないようだ。
「ね、スキル確認できたから帰ろ！」
「ちょっ、待ってってば…すみませんサンザシさん！」
「いえ、大丈夫ですけど…」
そう言って走り去っていくどぬくの背中を不思議そうな目で見つめ
サンザシは呟く。
「小鳥も不思議ですけど…なんであの人、一人で話しながら帰っていったんだろう」
「待ってってば！そんなに焦らなくても…」
「…時間がない」
「え？」
どぬくの手を引いて走り続ける九尾の狐は
その顔をこちらに向けることなく、ただ森の外へと向かっている。
周りに群がってくる低ランク妖怪を、妖気の刃で消し去りながら
深刻な声でどぬくに告げる。
「あの人、俺の事を認識していなかったんだ」
「…どういう事？」
「俺は未来から来ている。
だから時間が経っていくにつれて、存在が失われていくんだ。
サンザシさんが俺の事を認識できないなら…恐らく、シヴァさんやじゃぱぱさん、るなさんは
俺の事を認識できない。出来る人は…師匠や君くらいだと思う」
「そんなっ…」
存在が失われていく。
ということは、いつか自分も、この人を認識できなくなるということだ。
「まあ、師匠を殺しに来たのは未来を変えたいからだし…君に変えてもらえば問題ないかな」
「ちょ、そんな簡単に言われても…」
「それに」
九尾の狐は突然足を止めて、どぬくの方を見る。
「師匠を助けたいのは、お互い変わらないでしょ？」
「…それは」
正しい。
俺だって師匠を助けたい。だから、何回もループして師匠を助けに来た。
「ってことだから、コレは不可抗力であって…」
「ん？」
何かをボソボソと呟き始めた九尾の狐。
どぬくの背筋に悪寒が走る。
すると、いつの間にかどぬくは九尾の狐に担がれていた。
「知ってた？担がれていたほうが、高いところは怖いんだよ」
「…まさか」
嫌な予感がする。
気の所為であれ。冗談であれ。
そんな願いを、九尾の狐は粉々に砕く。
「じゃ、さっきの仕返しってことで！」
「えっ…ぎゃあああああああああああああああああ！」
突然地面から視界が離れて、雲の上まで吹っ飛ぶ。
「このまま〈始まりの森〉まで行くから！」
「落とさないでよ！？ねえ！聞いてる！？」
「暴れたら落としちゃうかも！ってか、高い！思ったより高く飛んでる！怖っ！」
「なんで君が怖がっていてるわけ！？」
本当に、この狐は手加減を知らない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青空 冬(プロフ) - みいなさん» コメントありがとうございます！やっと２０話行きましたー！応援ありがとうございます！神ってる…✨めっちゃ嬉しいです！いつもありがとうございます！ (2月10日 22時) (
レス) id: dfbd65d4da (このIDを非表示/違反報告)
みいな - わあ〜！！20話おめでとうございます！めちゃくちゃ楽しみです！毎回切る所が神がかってるんですよ、、。（内容も神、ハイ。）6章も見ます！！頑張ってください！！！ (2月10日 22時) (レス) @page20 id: 0fded84a07 (このIDを非表示/違反報告)
青空 冬(プロフ) - みいなさん» コメントありがとうございます！そうなんです…でも、のあさんも結構出す予定です！引き続き見てくれると嬉しいです！ (1月25日 20時) (レス) id: dfbd65d4da (このIDを非表示/違反報告)
みいな - すごい展開になってきましたね……！！のあさん会なのかな？っと思っていたら急な展開に！想像力半端ないですね、、（いい意味で）とっっっっっっても面白いです！これからも応援しています！！ (1月25日 15時) (レス) id: 0fded84a07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青空 冬 | 作者ホームページ：sakurasaku
作成日時：2024年1月15日 22時
