頑張り屋の廉くん29

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紫耀side

"変わってやりたい"

何度、廉を見て思ったか。


神は乗り越えられる試練しか与えない。

そんな言葉が世の中にはある。


だから、廉に与えられる試練も

神様が乗り越えられる。

そう思って与えてるのだとしても、、


与えすぎです、ちょっと。いや、かなり。


そんなに廉を苦しめたいんですか？

そんなに廉は何か悪い事をしましたか？


してないですよね？

生まれた時から、身体の弱さと向き合って

人一倍気を付けて…


なのに…っ

酷いよ、神様…


少しは俺に分けてくれたっていいじゃないですか。

俺らは何の為に…

グループは何の為にあるんだろう。


苦しい事は皆で分け合って

幸せは皆で共有して、6倍にして。


感情や気持ちはそうして共有できるけど

身体の事は共有できない。

それが悔しいんだっ…。




＊










＊





廉「ふぅ…ごめ、もう無理…っ」

「よく食べました。凄いよ、1口食べれて！」

廉「ありがと、」


そしてこの日の夕食の時間。

渡辺先生がゼリーを持って現れた。


さすがに口から栄養を取らないと

胃にチューブか、首から太い管を入れて

栄養を取らなきゃいけなくなってしまうらしく…


それをどうしても回避したい。

という事で、廉に1口でも食べてほしい

そう思ってゼリーを持って来てくださったんだ。


そして、廉は頑張って

4日ぶりに口から固形物を入れた。


食事前に先生が吐き気止めを

点滴に入れてくれたおかげで、今の所吐き気は大丈夫そう。


「廉、気持ち悪くなったら我慢しないで言うんだよ？」

廉「ん、分かった、」


少しづつだけど

ノロウィルスの症状も治まりつつあると

さっき先生から教えてもらって

俺も廉も嬉しかった。




＊







＊




あれから吐き戻すことが無くて

夜、就寝前の診察の時に

渡辺先生にそう伝えると

渡辺先生も喜んでくださった。


渡辺「良かった、、症状から見ても、ピークは過ぎたと思いますので、これから徐々に回復していくと思いますよ」

「良かったぁ…廉、よく頑張ったね」

廉「紫耀も先生もありがと…」

渡辺「ううん、これは廉くんの頑張りのお陰。もう少しだけ先生と頑張ろうね」


その言葉に廉も嬉しそうに小さく頷いた。





＊







＊





それからあっという間に就寝時間。

病院の1日は長いようで短い。


夜は21時就寝だし

朝は6時起き。


「おやすみ、廉」

廉「ん、しょおもゆっくり寝てな…」


その言葉に返事をして目を閉じた。

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