頑張り屋の廉くん19

11 ページ29

優太〜回想〜side

あれは廉が中学生に上がったばっかの頃だった＿＿。


数日前からなんとなく息が苦しいと

訴えて、酸素マスクが手放せなくなっていて…


「廉、苦しいな」


この日は、兄弟全員で廉のお見舞いに来ていて

皆で廉の看病をしていた。


廉「はぁっ…はぁっ…」


少し胸が痛むのか、胸を摩りながら

呼吸をしてる廉。


安定しないようだったら、ナースコールかな

と思ってたら…


廉「っ…あっ、いっ…げほっ、はぁっ…」


さっきよりも痛みが強くなったのか

呼吸は更に荒くて浅くて…


「廉、大丈夫だからなっ、すぐ先生呼ぶから！」


と廉に声を掛けながら、ナースコールを押した。

数分も立たないうちに廉は意識を失って…


その直後先生が来てくれて

酸素だったり、薬だったりを

調整してくれた。


医師「大きい発作でしたが、挿管は何とか回避できました」


と先生に教えてもらって

かなり危険な状態だってことが、素人の頭でも

それだけは理解できた


医師「お兄さん、ちょっと」

「はい。みんな待っててね」


俺だけ、違う部屋に呼ばれて

紫耀たちに待ってるように伝えて

【相談室】と書かれた、部屋に入って


医師「廉くんの心臓の状態なんですけど……今の薬じゃもう対処しきれません」

「え…それじゃ、廉はっ…」

医師「ですので、今の薬よりも強いもので様子を見ましょう」


との事だった。


「…それって、かなりしんどい、ですか？」


恐る恐る、そう先生に聞けば


医師「そうですね、副作用はかなりあると思います」


そう言われて、今まで廉が治療に耐える姿が

頭の中に蘇った。


今までも、薬が合わなくなって

副作用に苦しんできた廉。


でも、その度になんとか、なんとか。と

廉の命を繋ぎとめてきた。


けど長年この先生にお世話になってるからこそ

分かるんだ。今回の治療は今までの何倍、何十倍と

酷な治療だってことが。


「分かりました、お願いします」


でも、それでも俺らがやる事は

何一つ変わらない。

"廉を全力でサポートする"だけなんだ。


＊


それから病室に戻れば

まだ廉は眠ったままで


紫耀たちも不安そうな表情のまま

廉の傍に座って手を握ったり

頭を撫でたりしてくれてた。


紫「兄貴…廉は？」

「うん、新しい治療始めるって」

「「そっか、」」

海「またしんどい？」

「うん、副作用とかがな。酷いらしくてさ」


そう俺が言えば、不安そうな表情は

消えて、支えると言ってくれた

12→←10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す