頑張り屋の廉くん11

11 ページ11

海人side

それからお昼手前


海「しょお、なんか食べない？」


最近ごはんをまともに食べれてないけど

念のため聞いてみる


紫「ゼリー…」

海「え？ゼリーなら食べれる？」


今日もダメか、と思ってると

小さい声ではあったけど「ゼリー」

そう言った紫耀


紫「うん、なんか、今はお腹空いてる…」

海「良かった…じゃあ俺、買ってくるね」

紫「ん…」


俺は嬉しくて飛び上がって喜びそうなのを

必死に抑えて売店まで早足で向かった


もしかしたら止まっていた

俺らの時間が、紫耀の時間が

動き出したのかもしれない。


そう思わずにはいられなかったんだ


それから紫耀が食べたいって言ったゼリーと

自分用のおにぎりを１つ買って戻った


海「紫耀、こっち来て食べよ？」

紫「ん…」


紫耀の手を引いてあげて、近くにあるソファーに

座らせて、ゼリーの蓋を開けてもらったスプーンと

一緒に手渡してあげる


海「ゆっくり、よく噛んで食べてね」

紫「ん、ありがと」


久しぶりに固形物を食べるから

戻さないか不安だけどでも

きっと大丈夫。何故かそう思った


それから紫耀の様子を見ながら

俺も買ってきてたおにぎりを頬張る


紫「ごちそうさま」

海「お、完食したの？凄いね」

紫「ん、美味しかった」


そう言って少し笑った紫耀。

良かった…少しでも笑ってくれて


海「美味しかった？なら良かった」


それから俺も食べ終わって

また廉の近くに移動して見守る



すると、突然紫耀が


紫「廉！」

海「え？紫耀？どうしたの？」

紫「廉、起きて！」


そう叫んで、その次の瞬間

廉の目がゆっくりと開いた＿＿＿。



廉side

長い間、真っ暗な道を１人で歩いてた。


ホンマに長い距離を。


けど、いつも頭に浮かぶんは

メンバーの顔。


どこからか聞こえる

メンバーの声。


そのお陰で暗くて長い道も

１人で歩けた。



俺、生きてるんよな？

ここが天国なのかはたまた現実なんか

分からない感覚に襲われて


すると突然、暗い場所から変わって

沢山ドアがある空間へと変わっていた


廉「なんなん、これ…」


茶色いドア、白いドア、緑色のドア


ホンマ沢山の色のドアがあった。

そこを歩いていくと、俺らのメンカラが全部

入ったドアがあって


そのドアを見つけた瞬間…


紫「廉、起きて！」


紫耀の声が今までよりはっきり聞こえて

俺は迷わずそのドアを開けた＿＿＿。

12→←10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す