欲しい119こ ページ6
「ただいま〜」
私が呑気に家に帰り、リビングに入ると、深刻そうな顔をした両親と、兄が机を囲んでいた。
「じゅり！丁度良かった。此処に座って」
そう母に言われ、母の前に座った。話って？と問うと、両親は顔を見合わせ頷き、私の方を向いた。
「じゅり、ごめんね……私、親として最低な事をしたわ」
涙を必死に堪えながら話す母を疑問に思った。そんなにも大変な事なのか。どうせ、私のお気に入りのマグカップを割ったとかでしょ、そう思い込むが、殺人でもしたのか、と考えると、身体が震える。
大丈夫、大丈夫。そう自分に言い聞かせる。
「どういう…こと？」
「お父さん達、一月さんに、金で釣られたんだ」
「は？」
一月って、あの一月？Aの家族の事？
父の言葉にパニックを引き起こす。Aに買われたってこと？違う、Aは物で人を使わない。じゃあ、親？どうして？嘘だ。脳は既に落ち着きを無くし、身体が上下に微かに揺れる。
焦っている時の私の癖だ。
「Aを、売ったの？ねえ、ねえ！！」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「こうしないと、お父さん達はダメだったんだ」
「だからってAを！！！私の大切な親友なのに！！どうして！！！」
泣きながら謝罪をする母の背中をさすり、父は辛そうに私に言う。謝るならどうしてこんなことを。怒り狂った私は両親に向かって拳を振り上げた。初めてだ。こんなことをするのは。
すると、私の手首を後ろから誰かが掴んだ。
「じゅり、落ち着け。まだ父さん達の話をちゃんと聞いてないだろ」
「お兄ちゃんにはわかんないでしょ！！Aの事、何とも思ってないくせに！！」
手を振り払おうとして暴れるが、兄は私を押さえつけて、動けないようにする。
「俺だって、辛い！」
兄は私を向き合わせ、両肩に手を置く。
初めて、兄の本当の心の内を聞いた。
「Aちゃんは、俺にとってもう1人の妹みたいな存在だった！！」
初めて、兄の涙を流す姿を見た。
「じゅりからしたら、そうは見えないんだろうけど、俺だって、俺だって！！」
初めて、兄の怒鳴り声を聞いた。
「気が済むまで殴ってやりたい！でもな、そうしても何かが変わるわけじゃないんだ。もう、後戻りできないんだ」
そう言って私の両肩に手を置いていた兄は、膝をついて泣き崩れた。私はそのまま立ち尽くし、涙を流した。
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尊 - 何度も読みたくなる作品くらい面白いですが、一ついいですか？一月父が30歳だと一月姉妹が高校3年生っておかしいと思います。一月父が12歳か、13歳で作った子になってしまいます。 (2020年11月25日 13時) (
レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも更新されるの楽しみにしてました！次に作品を作る時も頑張ってください！応援してます！！！ (2016年3月3日 20時) (レス) id: 8de599b8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花粉の苺愛 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2016年1月3日 23時
