五話 ページ5
「――――げ」
次の日の学校の校庭、そこでとある人物と鉢合わせになったAは眉根を寄せ、不満そうに言葉を洩らす。
当の相手は、最悪と言いたげな表情で機嫌が悪い。
「ここがどこだか知ってて来てんの？ 兄貴」
「そうだけど？ 来ちゃ駄目だったっけ」
八の字の眉が特徴のチョロ松。兄弟の中で常識人だと豪語している。
後ろにいた仲間が強引に肩を組んで来た。意地の悪い笑みを浮かべて、耳元で囁いてくる。
「今なら、ヤっちまっていいんじゃねぇの？ お前の大っ嫌いなお兄様はここにはいないんだぜ？」
チョロ松を見て、Aははらわたが煮えくり返る程苛つく。
真面目に来た学ラン。中学の時まで、おそ松やカラ松と共に喧嘩をしていたのに今となっては争い事を嫌っている。
噂では時々喧嘩する、なんて聞いた事があるが。
「…ここに何の用だよ。南棟の生徒なら、南棟に戻ってろよ」
溢れる怒りを抑え、ポケットに手を突っ込む。
チョロ松が苛ついた様子で睨んで来る。そして溜息を吐くと、柔らかく微笑んだ。
「おそ松兄さんから伝言。今日は帰って来いってさ」
今の今まで緊張していた空気が急に緩む。
野次馬だった北軍の生徒たちがドッと吹き出す。
「クロセンパァイ！ 折角南軍の奴が来たんスから、ヤったらどうすかぁ！？」
その声に続いて生徒たちが囃し立てる。
「…ねぇA、こいつら黙らせることできないの？」
ぴたり、と笑い声が止まる。
その瞬間に再び張り詰めた空気が北棟を包む。
「クロセンパイ、こいつむかつくんですけどォ…」
「なァ…。今ヤったって、なーんも変わりゃしねぇよ」
相も変わらず耳元で囁いて来る仲間を横目に、チョロ松を見る。
呆れて物も言えない、と言う表情をするチョロ松。Aと戦えという声になんとかしろ、と言いたげだ。
どんどん盛り上がって行く周りの声に、Aは小さく溜息を吐いた。
「うるせぇな。てめぇら、その口を閉ざすことは出来ないのか？」
静かに響いたその声に、再び静寂が訪れた。
Aに肩を回していた仲間も、茫然として腕を離した。
「もう帰ったら？ 一松兄さんや十四松兄さんが待ってるんじゃないの？
それとさっきの、気が向いたら帰るから」
あっそ、と素っ気ない返事をし、チョロ松は南棟に向かって踵を返した。
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ルアルア(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます! 一松ってチョロ松の言った通りジョーカー的存在として根強く私の中にいるので、そんな感じにしたくなりますｷﾘｯ コメント嬉しいです! ありがとうございます! (2016年10月17日 18時) (
レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - う、うおおおお……！一松はほかの兄弟に真相を話すのか、話さないのか……楽しみです！コメ失礼しました！ (2016年10月15日 23時) (レス) id: a128eaf6e8 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます! 私自身主人公が荒くれてる系が好きで、何故か作品にも影響が…(( これからも頑張ります!! ありがとうございます! (2016年10月10日 18時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます! そう言って貰えるととても嬉しいです!! 更新がとても不定期ですが、これからも頑張って参ります(真顔) (2016年10月10日 17時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - すっごく好きです、こういうの！続き楽しみです！ (2016年10月9日 22時) (レス) id: 7fd415952d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルアルア | 作成日時：2016年8月29日 19時
