二十三話 ページ23
俺はデカパン博士に、仲間と遊びに行くとだけ伝え、いつものように学ランを着て道を歩いていた。
いつもは気にも留めない路地裏から、何かを殴る音が鳴り、俺はついそこに視線を投げた。
――――…喧嘩か？
こんな典型的な不良の言葉を使うつもりはないが、ここは俺の縄張り、つまりシマだ。
舌打ちをしながら路地裏に進むと、路地裏特有の闇が俺を包む。そんなものはすぐに晴れるが、薄暗いのに変わりはない。
奥に進んでいくと、数十人(とは言えど、数人かもしれない)が一人を囲って殴る蹴るを繰り返していた。
中にはバットらしきものを持っている。
「こんなトコで何やってんの？」
一斉に振り向いたその顔は、どこかで見た事があった。
確か、あの兄貴共の後ろをひっついている奴らだ。即ち、南軍。
これはやるしかないな、と思った時、囲まれている奴の顔が俺を見た。
びくん、と身体が打ち震えた。
相手も俺を見て、怯えた表情を浮かべた。
「――――………いちま、つ…兄さん」
蚊の鳴くような声で呟いたため、聞こえなかったとは思うが、今の俺にそんなことを考えている余地など残っていなかった。
「――――…お前ら、行くぞ」
そう言った奴らは、せこせことこの場から離れて行く。
いつもならここで喧嘩が勃発しているところだが、俺はここから動けなかった。
身体中から血を流した一松兄さんは、呼吸を荒くしてその場で脱力した。
唯一身を預けているゴミ袋は音を鳴らし、兄さんの存在を受け止める。
「あっ、おい、兄さん！！」
気付いた時には身体が動き、兄さんの肩を抱いていた。
「なんでこんな…。兄さんは喧嘩出来る筈だろ！？」
そう言ってはっとする。確か奴らは、兄貴たちとも仲が良かった。
だから…？
手の甲に青筋が立った。今すぐにでも奴らをボコボコにしないと気が気でならなかった。
すると、俺の手に兄さんの手が重なった。
兄さんは力なく微笑む。
「だいじょうぶ」
まるで雷に打たれたように、その言葉は身に染み渡った。
兄さんの胸に頭を押し付けると、「いたい…」と呻かれるが、それでも構わず俺は呟いた。
「気付けなくて、ごめん。守れなくて…――――ごめんなさい」
再び「だいじょうぶ」と言う声が降ってくる。
そして力を無くした兄さんは、俺の身体に体重を預けた。
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ルアルア(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます! 一松ってチョロ松の言った通りジョーカー的存在として根強く私の中にいるので、そんな感じにしたくなりますｷﾘｯ コメント嬉しいです! ありがとうございます! (2016年10月17日 18時) (
レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - う、うおおおお……！一松はほかの兄弟に真相を話すのか、話さないのか……楽しみです！コメ失礼しました！ (2016年10月15日 23時) (レス) id: a128eaf6e8 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます! 私自身主人公が荒くれてる系が好きで、何故か作品にも影響が…(( これからも頑張ります!! ありがとうございます! (2016年10月10日 18時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます! そう言って貰えるととても嬉しいです!! 更新がとても不定期ですが、これからも頑張って参ります(真顔) (2016年10月10日 17時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - すっごく好きです、こういうの！続き楽しみです！ (2016年10月9日 22時) (レス) id: 7fd415952d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルアルア | 作成日時：2016年8月29日 19時
