3話 ページ3
打ち上げが終わり、少し風に当たろうと樹と2人で外を歩く。
等間隔に並ぶ街灯に照らされながら、先程までの熱を冷ましていた。
田｢いや〜楽しかったね、やっぱりSixTONESって最高だわ。きょもも珍しく酔っちゃってね｣
京｢へっ、そんなに酔ってる？｣
田｢酔ってる酔ってる。顔真っ赤だしな。出やすいからね〜きょもは｣
トイレでの一件後、俺はとりあえず忘れたいとご飯やらお酒やらをかき込んでいた。
俺がそれほどまでに動揺するきっかけを作った犯人の北斗は、何事も無かったかのようにメンバーに振舞っていた。
俺を相手にするときを除いて。
元々、事務所公認の不仲と言われるほどに関わらなかった俺たちだ。はたから見ればいつもと変わらないだろうが、明らかに俺の方を見ようとしない。完全に気にしている証拠だった。
京｢…俺だって酔いたい時あるのー｣
田｢そーなの？珍しいね。やっぱりライブ終わった後って酔いたくなるもんなんだな〜｣
いやそういう訳じゃないんだけどな。もっと大きな理由あるんだけどな。と、心の中でつっこむ。
田｢…ん？どしたきょも、起きてる？｣
京｢えっ、ああ、起きてるよ｣
田｢元気ない？なんか悩みでもあんの？｣
京｢いや〜…なんか、分かってなかったこともあるなぁと思ってさ｣
田｢なにそれ、新しい発見でもした？｣
京｢まぁ、そんなとこ｣
例え相手が樹だったとしても、相談なんてしちゃいけない。そう感じていた。北斗の尊厳にも関わるし、何より俺の感情がまだ整理できていない。混乱したままだ。まず俺の気持ちをどうにかしなければいけなかった。
あの時にでた｢ごめん｣の一言。
短い言葉だったが、北斗が拒絶と捉えるには十分すぎる言葉だった。
そこでふと考える。
俺は北斗の事をどう思っていたんだろう。
不仲だと色々な所で言われてイジられ、ちょっとしたスキンシップだってとってきた。北斗はきっとそれが複雑なものだったんだろうと今初めて気づく。
なら、俺は？
俺はどう思っていた？
京｢ねぇ樹｣
田｢ん？なに？｣
京｢樹は俺のこと好き？｣
田｢…………え？そりゃ、好きだよ？メンバーだし｣
京｢そっか…｣
田｢え、それだけ？？｣
だめだ、やっぱり頭が回っていない。なんでその質問なんだよ。やっぱりこういった事は素面の時に考えるべきだ。今じゃないな。
そう思って、俺はひとまず考える事を放棄した。
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作者名：くろーど | 作成日時：2021年2月15日 0時
