17話 ページ17
なに、なんだこれ。
何この状況。
間一髪、京本に頭がぶつかる事は避けたが、そこからどうすることもできない。
ていうか、近い。
至近距離にある綺麗な目は、俺の目をしっかり捕らえて離さなかった。
松｢ちょ、、ねえ、京本？｣
恥ずかしくなって、目を逸らす。
すると、手首をしっかり掴んでいた手が、する、と俺の手を握った。
京｢ねえ、こっちちゃんと見て？｣
逃げられない。そう悟った。
京本はぽつり。と話し始めた。
京｢俺は、北斗の事がすごい大切だって、好きだって思ってるよ。でも気づくのが遅すぎたんだよね。だから北斗を傷つけた。本当にごめんね。｣
違う。それは京本のせいじゃない。と声を出したかったが、なぜか言えなかった。
京｢…北斗はさ、俺の事どう思ってるの？｣
ごく、と喉が鳴る。
そう聞かれた途端、色んな感情が溢れ出して、
気づいたら、泣いていた。
松｢…………おれ、は、｣
京｢…うん。｣
松｢…………ずっと、ずっと、好きだった。…けど、俺、いっぱい京本が差し伸べてくれたこの手、拒んできた。だから、｣
そこまで言ったところで、唇に同じものがそっと触れた。
京｢…いいんだよ。俺が北斗の事好きなのは変わらないから。
俺と、付き合ってください。｣
松村｢…ほんとに、俺でいいわけ？｣
京｢北斗が、いいの。｣
急に、視界が京本と天井だけになる。
松｢…これで明日起きて覚えてません、とかまじありえないからね。｣
京｢はは、絶対忘れないと思うけどね？｣
松｢それもそれで…｣
恥ずかしいわ、と言いかけたが、またも京本で塞がれた。
京｢ねぇ…いい？｣
急に京本のスイッチが入った。
そう聞かれて、一気に血が上る。
松｢…優しく、しろよ。｣
なるべくね。と笑った京本があまりにも綺麗で、一生離れられない気がした。
ぱっ、と一気に目が覚めた。
至近距離に京本の寝顔があって、思わず飛び退く。
そっか、昨日、俺…………
醜態を晒した事を思い出し、思わず唸った。
京｢んぁ…おはよ、ほくと。｣
4割増で気の抜けた声が背後から聞こえた。
京｢こっち、こないの、？｣
寝起きは心臓に悪い。
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作者名：くろーど | 作成日時：2021年2月15日 0時
