だから、何？

祈願 ページ29

車に揺られること30分。

少しずつ景色が山だらけになってきた。


銀「俺昔ここら辺住んでたんすよ」

ママ「そうなん？何もないやろ」

銀「カップラーメンの自販機はありますよ」

『そんなんあんの？知らんだ』


目的の神社に到着。昼過ぎとはいえ人が多い。

ここの神社は県内でも大きいところで、恋愛成就の神様がおるらしい。


侑「Aちっさい頃ここで迷子になったよな」

『せやな。懐かしい』

侑「迷子にならんように手繋ぐ？」

『いらん』

侑「はぁ？！」


境内に入って、行列の最後尾に並ぶ。

神社までの道沿いには屋台がちらほら出とっていい匂いがする。


侑「しもた！財布忘れた！サムかして！」

治「ランニング行くで忘れんねん」

銀「それは関係あらへんやろ」

『寒い無理もう帰りたい』

角「人混み嫌い？」

『うん。毎年来とるけど慣れへん』


角名さんとはすっかり打ち解けてタメ口。

なんで敬語なの？って言われてから、双子と同じように話しとる。


『おみくじ引きたいな』

角「後で引こうよ」

治「今年は大吉がええな」

『去年治くん、凶やったな』

銀「その話学校でもしとったで」


着々と列は進んで行って、お参りできるのは次の次。


角「何お願いするの？」

『内緒！』

角「え〜」

侑「俺はAに変な男が寄って来ませんように、やな」

治「ツム、願い事って口に出したら叶わんねんで」

『ほら！もう次やで！』


お賽銭箱に小銭を投げ、両手を合わせる。


侑「A、お願い事何にしたん？」

『言うわけないやん』


もちろん受験のことはお祈りしたし、

もうひとつは、




またバレーができますように。

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