りょうすけせんせい

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涼介side


涼「はぁ…」

増田先生の車の中に響く、俺のため息。

ちなみに今は、あっという間に診察も受け病院から帰るところ。

涼「……全治1ヶ月…」

なんと俺…ヒビが入ってしまっていたようで。

ぼそっと呟いた長い長い期間に、思わずまたため息が漏れた。

増「もう〜…涼介先生、少し体いたわって？固定しないなんて…」

骨にヒビが入ってたら、普通だったらギプスなどで固定をして、包帯を巻いて…って感じなんだけど。

お泊まり保育の間だけでも、と土下座をする勢いで頼み込んだら、お医者さんが渋々OKしてくれたんだ。

もちろん痛いけど…明日になったら病院行けるし、湿布は貼って痛み止めも打ったし、処方もしてもらったし。

涼「…はぁい……」

増「これじゃどっちが園児なんだか…」

苦笑いする増田先生を尻目に、ぶーと口を膨らましてあからさまにいじける振りをする俺。

それでも頭のなかでは、既に園児のことで一杯で。

えーっと、今の時間だと……お昼寝の準備、してるかな？宝探し終わってるかなぁ…圭人君も、大丈夫かな…

増「ほら、涼介先生ついたよ」

色々と考えてる間にもう幼稚園に到着していて、慌てて車から出ようとした。

…けど、地面に足をつけた途端激痛が走り、堪らず崩れ落ちるように車から落ちちゃって。

いってぇ…！！

増「ちょ、涼介先生なにやってんの！？普通に歩ける訳ないんだから！！」

涼「へへっ、すみません…怪我してるの忘れてました…」

だって頭の中、もう園児達でいっぱいだったんだもん。

とは口に出さずに、少し呆れ気味の増田先生に手伝ってもらってなんとか園内へ。

涼「…怒ってます？」

増「……少しね」

いつも温厚な増田先生だから、ちょっと怖いけど……ごめんなさい、俺園児第一な思考なんです。

いつもより時間をかけて廊下を歩き、ようやくついたさくら組を少し覗くと、皆で布団を敷いてるところ。

やっぱ宝探し終わっちゃったか…

涼「増田先生、ありがとうございました！」

部屋の中までついてこようとする増田先生をなんとか説得させ、部屋に入る。

宏「あ！せんせい！」

雄「せんせー！！おれ、たから見つけたの！」

侑「ぼくもー！」

途端に、最高の笑顔で群がってくる皆。

もう痛みなんて吹き飛んじゃうくらいの可愛さ…
あーー幸せ！！自然と笑顔になる！！

涼「はいはい、お昼寝終わったら聞くね？皆、おねんねの時間だよー」

元気をもらった俺は、足の痛みを隠しながらもそう声をかけた。

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