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涼介side
…小児白血病。
その病名を聞いたときから、僕の思考回路は停止していた。
なにそれ?
頭が追い付かない。
どういうこと?
そんななかでも、宏兄の言葉は嫌なことばかり頭に入ってきて。
[長い入院][副作用も辛い][生存率50%]
頭にポンと手を置かれ、ようやく宏兄が目の前にいたことに気づいた。
宏兄の言葉に、なぜかボロボロと涙が頬を伝っていく。
けど、それも気にならなかった。
涼「なんで…」
気づいたら、自分でも驚くくらいに弱々しい声が出ていて。
涼「なんで…僕なの…?」
そう言うと、宏兄は目を見開いて固まった。
僕は、一言発した途端我慢ができなくなって、口から次々に心の声が出ていく。
涼「なんで僕が…こんな病気にかからなきゃいけないの…?僕、今まで頑張ったよ…こんな体だったけど、楽しく過ごせるように…体調崩したりたくさんしたけど、頑張ったんだよ…?なのに、なんで…?」
宏「涼介…」
困ったように、宏兄は僕の名前を呼んだ。
涼「まだ、足らなかった…?まだ、頑張らなきゃ駄目…?もっと頑張らなきゃ駄目…?…もう…嫌だよ…こんな体、嫌…」
さっきよりも、涙の量が増えていく。
涼「皆は、元気なのに…皆は、学校に行ってるし…友達と遊べるし…好きなところにも行けるし…たくさん走り回って、汗をかいて……なのに僕は、何一つ出来ない…遠くから、そんな姿を見ているだけ…」
ぎゅっと拳を握る。
涼「十分、我慢したよね…?まだ、やりたいこといっぱいあるの…皆と同じように、いつかはたくさん遊んでみたい…たくさん運動して、たくさん笑いたい…それを…どうして、許してくれないの…?」
光「涼介っ…」
宏兄も光兄も、涙を流して僕を見つめていた。
それでも、僕に何も言ってこないのは、僕の言葉に何も言えないからかな。
涼「…もっと、自由でいたいのに…今まで頑張って頑張って頑張って、それなのに生きれる確率が2分の1…?…なにそれ…なんで…なんで、僕なのぉ…」
僕はその場で泣きじゃくった。
宏兄と光兄が抱き締めてくれて、そのあたたかさにさらに涙が溢れた。
…もし、死んじゃったら…このあたたかさも、感じられなくなるのかな…
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楠木りずむ(プロフ) - い・ろ・は・すさん» 嬉しいコメントありがとうございます!遅くなってすみません…!再発の続編は…正直少し書くのが難しいです(′;ω;`)ですが、新しい長編か短編集は作りたいと思っていますので、そちらを楽しんでくれるとありがたいです! (2018年12月29日 23時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
い・ろ・は・す - そして、りんごさんのいうように再発で続編を見たいです!活動再開後頑張ってください!図々しくてすみません (2018年12月20日 21時) (レス) id: 6b690ae98e (このIDを非表示/違反報告)
い・ろ・は・す - 楠木りずむさん» この作品大好きです!私も今、受験生です笑楠木りずむさんも受験終わったら小説の更新頑張ってください! (2018年12月20日 21時) (レス) id: 6b690ae98e (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - りんごさん» すみません!私現在受験生であり、今更新してるお話以外の新作を出すつもりはございません……でも、そう言って頂けて本当に嬉しいです!活動再開したらまた病系短編集書きたいなと思ってるので、その時はよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年8月20日 11時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 再発で続編見たいです (2018年8月20日 8時) (レス) id: 7c5aa7c9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楠木りずむ | 作成日時:2016年7月15日 19時