JUMP家 〜病系６〜

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涼介side


走って走って、ただ走って。

いつのまにか、あの不可解な音も聞こえなくなり、

謎の扉も、見えなくなってしまった。

涼『はぁ…』

ここは本当に、なんなんだろう？

僕は、病室で何があったの？

…本当に死んでたり…しないよね…？

絶対に生きるとか言っといて、みんなを置いて死ぬなんてしたくない。

それに…

涼『一人は寂しいよ…』

宏兄に、どんなにうるさいって怒られようとも、僕はあの賑やかな空間が大好き。

皆に…会いたい…


…す………う…け……っ！


涼『え…なに…？』

その時。

微かに、何かの音が…声…？

…け…りょ……す…！

段々と大きく、はっきり聞こえてくる音。

…まちがい、ない。

涼『みんなぁ…』

あぁ…やっと、やっと皆に会えるときがきたんだね。

やっと、ここから出られるんだね。

涼『…遅いよ……』



宏太side


ピー！ピー！ピー！

鳴り止まない音。

それがさらに、俺を焦らせる。

宏「涼介っ！くっそ…！涼介！！」

ほぼ叫んでいるような声で、処置をしながらも必死に声を掛け続ける俺。

落ち着け、俺…！

危険なときほど、冷静に慎重に…！！

治まれ…っ！！


ピー！ピー！ピー…ピー…


うるさいくらいに響いていた音。

それが段々と、小さくなっていく。

看「…っ、安定してきています！」

そんな看護師の声。

ピッ…ピッ…ピッ…

治まった…？

…良かった……本当に、良かった。

俺は、はぁーと大きく息を吐いて、涼介の手を握った。

あったかい…

宏「涼介…」

お前は、俺が助けてやるからな…

そんな思いも込めて、手をぎゅっと強く握った時だった。

涼介の手が…ピクリと、小さく動いた気がした。

宏「っ！涼介…？涼介っ！涼介！！」

涼介…返事をしてくれ…！！








涼「……………ん………」


宏「……りょう…すけ………」

小さな呻き声をあげてから、涼介はゆっくりと…目を開けた…

宏「涼介…？涼介、分かるか…？」

涼「……こ…にぃ…？」

久々の、あの可愛らしい声。

いつぶりだろう、涼介の口から[宏兄]と呼ばれるのは。

安堵からか、俺は。

宏「涼介ぇ…っ！」

ベッドに横たわる涼介を抱き締め、涙を流した。

光「涼介ぇ！！！」

いつのまに、看護師が皆を入れてくれたみたいで。

涙しながら、帽子やらマスクやらを慣れなさそうに着た皆も、名前を呼び抱き締めた。

室内には、俺らの泣き声が響き渡り。

涼介は、弱々しくも嬉しそうに…微笑んでいた。

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