JUMP家 〜病系６〜

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宏太side


宏「涼介？涼介、分かるか？」

涼介の瞳が、ゆっくり俺の方を向く。

涼「…宏兄…？」

宏「おう。ちょっと診るから、待っててな」

俺が脈などを測ってる間も、涼介はボーッとしたように天井を見ていた。

宏「…ん、とりあえず安定してるな。しばらくは安静にしててな」

涼「…うん」

まぁ、もともとそんなに動いてなかったけど。

宏「…涼介…？」

涼「ん…？」

光と慧は、気を利かせてか黙って俺たちの様子を見ていた。

…謝らないと。

宏「涼介…ごめんな？俺が気付いてたら、こんなことにはならなかった」

涼「え？…んーん、気にしてないよ」

目は開ききってないけど、涼介は少しだけ口角を上げた。

こんなときまで笑わなくてもいいのに…

俺らの家族は皆、自分より皆を優先させるからなぁ…

涼「…逆に、ありがとう」

宏「え？」

涼「助けてくれて、ありがとう」

優しい子だとは思ってたけど、まさかお礼を言ってくるなんてな。

宏「当たり前だろ。…俺は、お前のお兄ちゃんだからな」

涼「ふふっ…うん」

頭をポンポン撫でてやると、嬉しそうに笑う涼介。

さっきの緊迫した空気とは一変、穏やかな空気が俺らを包んでいた。

光「よしっ！涼介も目を覚ましたことだし、俺らは帰るか！」

慧「そうだね〜」

そう言って、二人が病室を出ていった。



涼介side


死ぬかと思った。

今日は…本当に、死ぬのかもって。

息が出来なくて、怠くて、辛くて、苦しくて。

苦しさから解放されていくとともに、俺はどんどん意識が曖昧になってきて。

気付いたら、真っ白な世界にいた。

涼『ここは…？』

歩いても歩いても、景色は変わらなくて。

涼『僕…死んだの…？』

嫌だ…

まだ僕、死にたくないよ…

生きて、今まで出来なかったことをいっぱいやるって決めたもの。

誰か…助けて。

嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ！！

どこに向かってるかも分からないまま、僕は知らぬ間に走り出していた。

『…け…涼介…』

え…

涼『宏兄…？いるの？』

『ほんとにごめんな…』

真っ白な世界に、宏兄の声がこだまする。

宏兄…助けて。

僕をここから出して。

涼『宏兄ーーーー！！』

そう叫んだとき、今度は視界が真っ暗になって。

ゆっくり目を開けたら、心配そうな宏兄の顔が見えた。

ここは…病院？

僕…生きてるんだ…

良かった…

そう安心したと同時に、死ぬことががとても間近に感じて。

…生きてやる、絶対に。

改めて、そう強く思った。

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