JUMP家 〜病系６〜

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宏太side


今日から抗がん剤治療が始まる。

皆、今日は午後から来るみたい。

ちなみに、涼介の病室にはあと三人、小児白血病の子達がいる。

喘息とか偏頭痛とかがあるから個室にしようかとも思ったけど、

「一人じゃ寂しいし、怖い…かな」

と涼介が言うので、四人部屋になった。

でも、その子達が副作用に苦しんでる時、涼介は泣きそうな顔になるんだ…

そりゃそうだ。

これから自分もああなるって思ったら、怖いに決まってる。

でも、やらないわけにもいかない。

病室をノックしようとした時。

春「なぁ、涼介」

同じ病室である、涼介と同い年の春馬君の声が聞こえた。

春馬君は長い入院をしてて、実はもうすぐ退院する。

それ以外の子の声が聞こえないから、まだ寝てるのかな？

涼「…あ、春馬君」

少し間が空いて、涼介の声。

その声はいつもよりも元気がなく、緊張しているのか少し震えている。

春「今日から？治療」

涼「う、うん…」

春「…手、震えてんぞ」

震えていたのは、声だけじゃなかったみたい…

涼「ははっ…本当だ」

弱々しい涼介の声と、春馬君の声が聞こえる。

春「…大丈夫！これが終われば治るし、辛いこともあるけど…俺も皆も、宏太先生もいるしさ」

涼「…うん…そう、だね」

ガラガラ…

宏「おはよう、二人とも」

会話に一区切りついたところで、病室に入ったいった俺。

そこには不安そうな涼介と、涼介の手を握る黒のニット帽を被った春馬君の姿が。

ニット帽…
暫くしたら、涼介にも買ってやらなきゃ…

宏「春馬君ごめんね、ちょっと離れててくれるかな？あとで診るから待っててね」

春「うん」

春馬君は涼介の手を離して、隣の少し離れたベッドに入った。

宏「さ、涼介。今から診るね」

終始不安そうな顔をしていた涼介。

その様子を、チラチラと春馬君も気にしていた。

宏「…OK！じゃあ午後から抗がん剤治療始めるけど…平気？」

涼「うん…」

少しぎこちなく微笑んだ涼介。

その手は、春馬君の言うとおり小刻みに震えていた。

宏「涼介」

たまらず、涼介の名前を呼んで手を広げた。

えっ、という顔をしたと同時に戸惑った顔を見せる涼介。

宏「たまには甘えなさい！すぐ溜め込むんだから」

そういうと、やっと俺に抱きついてきてくれた。

やっぱりこうやってると、涼介は小さいなぁってしみじみ思う。

この小さな体で、戦うんだ。

涼「…なんか、安心する」

宏「なら良かった」

こんなときでも、可愛いな、なんて。

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