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涼介side
順調にセキュリティの解除も行い、調理室で包丁も調達し、時刻は9時7分。
メインディッシュのステーキを、山田ひろ子のもとに持っていく。
そして、
涼「メインディッシュのサーロインステーキです」
そう言いながら横から料理を差し出し、そのついでにあいつの耳元に近づいて、
涼「杉田様が、山田様にお話があるそうです」
こそっとそう言った。
ひ「えっ…?…分かったわ。案内してちょうだい」
涼「かしこましました」
ひ「ちょっと抜けるわ」
男「あぁ」
よし。
なんとか連れ出すことには成功した。
あとは、殺すだけ…
あぁ…やっと果たせる。
やっと、待っていた時がきたんだ。
一刻も早く殺りたい。
そこまで長くないはずの道のりなのに、なんだかとても長く感じた。
目印となる黒い車を見つけ、その路地に入る。
杉田さんは…車の中から、俺を力強い目で見ていた。
…殺ってやる。
拳を力強く握る。
ひ「ねぇ、まだかしら?こんなところに杉田さんが?」
ていうか、息子に気付かねぇのかよ。
まぁ、気付かねぇだろうな。あの頃の俺はまだ小さかったし…まともに俺のこと、見てなかった気がするし。
涼「…チッ」
思わず、小さく舌打ちをする。
ひ「え…?」
驚いた顔で、俺のことを見る山田ひろ子。
ウェイターが目の前で舌打ちして睨んでるんだもんな。
なんて態度なの、とか言うかな。
まぁ、いいか。どうせ死ぬんだし。
涼「…息子に気付かないなんて、酷い母親だな」
ひ「は…?息子……?…涼、介?」
涼「ハッ…今ごろかよ」
呆れて、鼻で笑った。
涼「ずっと恨んでたよ、母さんのこと。…いや、もう母さんなんて呼びたくもねぇ」
ひ「…驚いたわ。まさかまた涼介に会えるなんてね?でも、恨まれても困るのよ。どんなに恨んだって、死んだ人は死んだんだから」
全く悪びれもなく、そういってくる。
こいつと同じ血が流れていると思うだけで、気分が悪くなってくる。
ひ「でも、あなたも親子なのね?こんなところで働くなんて…お金にでも困ってたのかしら?」
やめろっ、お前と一緒にするな!
そういう気持ちとは裏腹に、意外と冷静な声が口から出てくる。
涼「…残念、ハズレ。俺は…」
包丁の刃先をゆっくりと、山田ひろ子に向けた。
涼「…お前を殺るためにここに来たんだ」
自分でも不思議に思うけど、この状況で俺は、山田ひろ子に向かって笑った。
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楠木りずむ(プロフ) - Waka→涼介☆翔LOVEさん» コメントありがとうございます♪そう言って頂き嬉しいです!応援ありがとうございます(*´∀`)頑張ります! (2016年7月12日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
Waka→涼介☆翔LOVE(プロフ) - 面白かったです! 次のお話も頑張ってくださいっ! (2016年7月12日 22時) (レス) id: deda5e21bd (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - ありやまストロベリーさん» ありがとうございます!感謝感謝です(≧▽≦)頑張ります♪わざわざコメントありがとうございます(*^^*) (2016年6月10日 6時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
ありやまストロベリー - 移行おめでとうございます!それと最初の 涼介、涼也、涼雅、山ちゃんカラーもおめでとうです!〜second〜でも頑張って下さい! (2016年6月9日 23時) (レス) id: 130e94bc60 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 涼介大好き♪さん» ありがとうございます!ほんとに嬉しいです♪最低でも1日1話は更新するようにしてるので、これからもよろしくお願いします!(*^^*) (2016年6月9日 18時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楠木りずむ | 作成日時:2016年6月8日 21時